椎名桔平さんが、ドロンジョ様に仕える喜び―『恋愛戯曲 ~私と恋におちてください。~』初日舞台挨拶
- 2010年09月28日更新
2010年9月25日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町(東京)にて『恋愛戯曲 ~私と恋におちてください。~』初日舞台挨拶が行われました。鴻上尚史監督の独特な演出方法や、ゲストの恋愛観にも触れる、内容の濃い30分。鴻上監督と俳優陣のやり取りも見物です。たっぷりとリポート致します!(写真、左より、鴻上尚史監督、椎名桔平さん、深田恭子さん、塚本高史さん)
― それでは皆様に、一言ずつ頂戴したいと思います。
深田 今日は公開初日にお越しいただき、ありがとうございます。今日という日をとても楽しみにしていました。この映画の中では、“強制恋愛”という言葉がキーワードになっていますが、強制恋愛というものがこの映画の中でどんな風に展開されていくのか、今日は楽しんで下さい。
椎名 今日は天気も秋晴れで、爽やかな日を迎えることができました。満員のお客さんの前でスタートを切れたことを、とても嬉しく思います。僕の役は、深田恭子さんにとにかく尽くしまくるという役でしたので、楽しんでいただきたいと思います。
塚本 この映画は、僕なりの感想ですが、ちょっとレトロな、懐かしい雰囲気のするようなテイストになっています。強制恋愛とか、男が尽くしたり、女性からアプローチしたりというのがテーマで、絵を見ていると80年代くらいにタイムスリップしたようなことを覚えた記憶があります。そんなところも楽しんでいただけたらと思います。
鴻上 今から見ていただくわけですけれども、何らかのエネルギーか、元気かを差し上げられたら嬉しいなと思います。
― 皆さんは、鴻上監督とは初めてということですが、今回、撮影をされてみて、意外に思ったエピソードはありましたでしょうか?
塚本 監督の演出は、僕なりにですが、すごい抽象的ではあるけど、分かりやすい部分があって。ちょっとどこかから、や、ちょっとこういう感じで、というその「ちょっと」が、ああ、もうちょっとなんだな自分のお芝居は、と。僕はそれが気持ち良くて、「ここはお任せで、適当にやって下さい」という時もあり、信頼してくれたのかなという、気持ちの良い撮影でしたね。
深田 そうですね。鴻上さんの演出方法ですね。「今のお芝居に、ちょっとエッチなふりかけをかけてください」とか「清水の舞台からちょっと飛び降りた感じで」とか、理解するのが難しく、大変でした。
椎名 深田さんと初めての共演だったのですが、『(ヤッターマンで演じた)ドロンジョ様』の印象がありましたので、『ドロンジョ様』に仕える喜びっていう……(会場笑い)。 深田さんは本当に色んな部分を持っていらして、作品の中でも三つの世界で三変化していますが、深田さんの全くタイプの違う魅力を楽しんでいただければ良いなと思います。 鴻上監督とはいつかやってみたいなと思っていました。今回、演出を受け、色んな意味でバランスをとるのが上手な方で、ふと足元を見ると、前後に揺れる靴を履いてバランスをとっていて、印象的でした。
鴻上 今日も実はその靴を履いて来ているんですけど、この格好には合わなかったので、取り上げられました。MBTっていう靴で……、恭子ちゃんも実は履いてるよね?
深田 私も普段履いています。
鴻上 ですって! さっき告白されました。僕だけじゃなかったんですよ!
深田 流行っているんですよ。効果はばっちりで、インナーマッスルが鍛えられて。
椎名 インナーマッスル? 監督もそれ狙いで? 効果は?
鴻上 ばっちりですよ!インナーマッスルが鍛えられて……(会場笑い)
司会 監督、撮影中のエピソードはありますか?
鴻上 ―深田さんについて。 今回の“三変化”は、別々な場所で、別々に撮っていくのに、台本だといきなり繋がっているので、あれが一番苦しかったんじゃないかと。大変なことをお願いしちゃったなと思いましたが、ちゃんとイメージで三つの世界をやられてたんで、これは大丈夫だなと、安心しました。
―椎名さんについて。 万歳をするというシーンがありますが、そのシーンだけではちょっと足りないなと思って、その後のシーンでもずっと万歳をやってくれませんかとお願いしたら、一生懸命、必死になってやってくれたので、真面目な方なんだなと思いました。
―塚本さんについて。 「これはケーキを持って来たシーンだから適当に言って!」と言ったら、本当に適当にずーっと言ってくれたので、なんて便利なのだろうと。シナリオを書く必要がないなと思いました (会場笑い)
― 今回の映画は“強制恋愛ストーリー”ということですが、今まで女性から思いっきりアプローチを受けました!という経験はありますか?
椎名 僕は……ないですね。
鴻上 (間髪入れずに)えーっ!!! あるでしょ?
椎名 いやいやいや・・・ああ、告白みたいなことですね。それはまあ、ありましたね(笑) 学生時代です。大人になってからはないですね。
塚本 僕もない……ですね。
鴻上 えーっ!!! もう、毎回しんどいんだから。(会場笑い)
塚本 中学くらいの頃に2コ上の先輩からとかはありましたが、あまりないなぁ。
司会 女性の方々は「本当?」という顔をしていますが、鴻上監督、お願いします。
鴻上 この二人がそんなにないって言って、僕があるって言ったら流れ的におかしいでしょ。(会場笑い) イケメン村の人に告白するのはドキドキするので、基本的にブサイク村担当の僕としては、言いやすいと。 僕はありますけどね。告白はね。「好きです」とか言われたことあります。
椎名 告白される前に告白を男の方からするとか、そういうことじゃないんですか?
鴻上 それは、この人は好きじゃないけど、告白されてしまうなってことはあるでしょ?
椎名 なるほど。さすが恋愛の大家。(会場笑い)
― 深田さんはご自分からアプローチをするということはありますか?
深田 私は自分から言うのは苦手です。待つタイプですね。自分からアプローチはできないです。
司会 では、どんなアプローチをされたら思わず受けてしまいそうになりますか?
深田 海とかで「大好きっ!」って。ベタベタなのが好きですね。青春ぽいのに憧れます。
鴻上 でも、自分からは言わないけど、「あんたから告白しなさい」って目力出すでしょ!
深田 うーん、そうですね。もし好きならば。(笑)
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― ご結婚されている方もいらっしゃいますが、「結婚と恋愛は別」という考え方はどうですか?
椎名 結婚しても恋をしましょうっていう気持ちは忘れちゃいけません、という気持ちはありますけど、まあ、現実はなかなかそういう訳にもいきませんね。
(深田さんに向かって)奥さんになっても、恋をし続けられたいって思いませんか?
深田 はい。旦那さんにずっと恋していたいですし、旦那さんにずっと恋してもらいたいです。
椎名 それ大事! それ大事です!
塚本 結婚してる自分の立場から言わせてもらうと、奥さんに好きっていう気持ちだけでいいから、恋愛しなくていいっていう感じです。僕、結婚しているから、他の女性とか別に要らないし! ……って言えばいいのかなぁ? (会場笑い)
司会 女性としては、凄く魅力的なお答えの仕方だと思います。
鴻上 あっ、そうなの? わかったわかった、よし!
司会 ということで監督、いかがですか?
鴻上 結婚してるともう、全然他の人は要らないし!(会場笑い) 旦那がいても片思いするのは素敵な事だと思うんですよ。例えば、ブラウン管やスクリーンに映っている人でもいいし、近くのコンビニの店員さんやカフェの店員さんでも、要はときめくことは僕は凄く素敵な事だと思うんですよね。いつも奥さんにときめいてはいられないですよ。ときめいてる時期もあれば、ふざけるな!って時期もあって、またときめく時期が復活するわけで……。すいません、今(女性を)敵にまわしました。(会場笑い)
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― 最後にお一人ずつ、この映画の見所などお言葉をいただきたいと思います。
深田 この映画を見ていただいて、恋がしたいなと思っていただいたり、お仕事を沢山頑張っている人、悩んでいるのは自分だけじゃないなという風に思ったり。皆さんの明日への活力になってもらえたらいいなと思います。今日はありがとうございます。
椎名 何か忘れていた恋心みたいなものを思い出させてくれる、懐かしい映画の側面も持っています。そして、主人公達が皆、仕事になり、恋になり、色々悩みを抱えて崖っぷちみたいな環境から始まっていくのですが、崖っぷちのところから、明日への希望や元気に頑張ろう!というような映画になっていると思いますので、皆さんもこの映画を見て、明日ちょっと元気になってもらえればいいなと思います。今日はありがとうございました。
塚本 ずっと言っているテーマが ”強制” ですが、こんな強い女性でも良いんだと、共感してくれる女性がいてくれたらいいです。男性も、草食系とか肉食系とか言われていますけど、この映画に出てくるキャラクターそれぞれに言える事ですが、自分というものを持っていれば人に流される事なく幸せが手に入るんじゃないかなと思います。とりあえず見てください!ありがとうございます!
鴻上 今の状態から見て、何か恋愛とか仕事とか、色々な人生とかのエネルギーを差し上げられたら、少しでも何となく元気になれる手助けができたら、撮ったかいもあったかなと思います。ありがとうございました。
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▼『恋愛戯曲 ~私と恋におちてください。~』作品・公開情報▼
出演:深田恭子、椎名桔平、塚本高史、中村雅俊、清水美沙、西村雅彦、井上順
監督・脚本:鴻上尚史 原作:「恋愛戯曲」(白水社)
2010年/日本/106分/カラー/ビスタ/DTSステレオ/配給:ショウゲート
(c)2010「恋愛戯曲」製作委員会
●恋愛戯曲 ~私と恋におちてください。~公式サイト
2010年9月25日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、シネセゾン渋谷 、新宿武蔵野館 他にて全国ロードショー
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●『恋愛戯曲 ~私と恋におちてください。~』作品紹介
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<セレブの靴チェック>(左より、塚本さん、深田さん、椎名さん)
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取材・編集・スチール撮影:南野こずえ 取材・編集・文:しのぶ
- 2010年09月28日更新
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