『渇き』
- 2010年02月26日更新
ソン・ガンホがヴァンパイア?!
(フランケンシュタインじゃなくて?)
と驚きの方もいるのでは。
ヴァンパイアといえば、眉目秀麗な俳優が演じるのがお約束。
なのになぜソン・ガンホ?(たびたび失礼…)
でも彼が演じたのには訳があるんです。
本作でパク・チャヌク監督と「JSA」(00)以来のタッグを組み、かつてない人間臭いヴァンパイア像を生みだしている。
サンヒョン神父(ソン・ガンホ)は聖職者として、新種ウィルスのワクチン開発実験のため我が身を投じる。そして、そのときの輸血が彼を吸血鬼へと変貌させたのだった。
病院で入院患者を見舞いながら、人目を盗んで輸血用の血をむさぼり吸うサンヒョン神父。そればかりか、友人の妻とのめくるめく快楽に溺れていく。
血と官能の渇きに、そして道徳と欲望の狭間で悶え苦しむサンヒョン神父の姿は、
どこか滑稽ですらある。
そんなヴァンパイアを演じるのは、韓国屈指の名優ソン・ガンホにしかなしえない離れ業で、10キロ減量したスリムな姿でこの難役を演じきっている。
“罪”というテーマをブラックユーモアたっぷりに描いているが、しだいにホラーテイストに変わっていく。ヴァンパイアの世界観が堪能できる映像美も見どころ。
本作は、これまでも人間の業を描いてきたパク・チャヌク監督の真骨頂というべき作品。
パク監督は“復讐3部作”の2作目「オールド・ボーイ」(03)でカンヌ映画祭グランプリを受賞したが、本作でも再びカンヌを震撼させ、審査員特別賞を受賞している。
2月、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
▼作品詳細
2009年/韓国・アメリカ/133分
出演:ソン・ガンホ、キム・オクビン、シン・ハギュン
監督:パク・チャヌク
配給:ファントム・フィルム
公式HP:http://www.kawaki-movie.com
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文:おすず
- 2010年02月26日更新
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