『犬と猫と人間と』
- 2010年01月11日更新
きっかけは猫おばあちゃんの一言だった。
「人間も好きだけど、動物の方がマシみたい…」という言葉がなんとも印象深い。
「不幸な犬猫を減らしたい」というおばあちゃんの願いを受け、監督の新たな旅がはじまった。
実は、この映画を観る前は、「悲惨な現実に憤り、無力感に襲われるのではないか」という危惧があった。いわゆる社会派ドキュメンタリーや、「動物もの」の映画の中には、そう感じさせられる作品も少なくないからだ。
しかし、本作はちょっと違った。
ワイドショー的な過剰な演出に感情を煽られるということもなく、涙目でツラい映像から目を背けてしまうということもない。もちろん、ドキュメンタリーとして現実を伝えているのだけど、動物を愛し、なんとかして状況を良くしたいという人々や、動物たちのユーモラスな表情から目が離せなくなってくる。拾う神の存在に、観終わったあと救われるような気持ちになるのは、きっと私だけではないはず。
また動物愛護の先進国・イギリスでの取材は、とても興味深い。
なぜ、ペットショップで犬猫が売られていないのか?
そこには、ペットに対する根本的な意識の違いが反映されているようだ。
犬と猫をとおして見えてくる、人間の姿とは?
本作品は完成までに4年の歳月が費やされたという。
監督は、ドキュメンタリー映画「あしがらさん」(02)、「今日も焙煎日和」(07)の飯田基晴氏。映像グループ・ローポジションで、当サイトでも紹介した「フツーの仕事がしたい」(08)の土屋トカチ監督、常田高志氏とともに、海外からも注目される力強いドキュメンタリー作品を制作している。
☆大好評につき、アンコール上映中!
1/15まで渋谷アップリンクにて、1/23~29下高井戸シネマ、他全国順次公開
▼作品情報
日本/2009/118分
監督: 飯田基晴 撮影:常田高志、土屋トカチ、飯田基晴
配給: 東風
公式サイトはこちら
文:おすず
改行
- 2010年01月11日更新
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