白玉

家族を描く達人たちの作品を一挙上映―「台湾巨匠傑作選」ホウ・シャオシェン/アン・リー/エドワード・ヤン/ウェイ・ダーションの世界

世界的評価の高い台湾出身監督のホウ・シャオシェン、エドワード・ヤン、アン・リー、ウェイ・ダーションの4人の12作品を一挙上映する「台湾巨匠傑作選」。台湾巨匠の扱うテーマの多くは「家族」というもっともミニマルな人間関係。「家族」の日常を飾りたてることなく日常のまま丁寧に切り取っていくからこそ普遍的な懐かしさ、切なさが生まれる。世界中の人々が自身の家族に重ね合わせて楽しめるところが台湾巨匠の巨匠たる所以だ。8/23~9/15までの限定公開なので、スケジュールチェックをお忘れなく。今回はミニシアおすすめ4本をご紹介します。K’s cinemaほか全国順次公開 「フラワーズ・オブ・シャンハイ」① (C)1998 松竹株式会社

第7回したまちコメディ映画祭in台東-どこをとっても笑いが止まらない映画祭

今年で七回目を迎える、したまちコメディ映画祭in台東、通称“したコメ”。いとうせいこうさんを総合プロデューサーに「映画(Cinema)」「したまち(Down town)」「笑い(Comedy)」という3つの要素を掛け合わせた、映画人、喜劇人、映画・喜劇を愛する人々が一体となって盛り上がれる住民参加型の映画祭だ。喜劇映画の上映にとどまらず、声優口演ライブ、DVDスルー・コメディ大賞、コメディ栄誉賞を受賞した西田敏行さんのリスペクトライブなど、どこをとっても笑いにあふれた企画ばかり。連休を楽しむなら台東区に出かけよう。はずせないミニシアおすすめの4イベントをご紹介します。(C)2014 安齋肇/「したまちコメディ映画祭in台東」実行委員会

『こっぱみじん』—「なんとなくな」人生に舞い戻ってきた初恋の人。彼が心をよせるのは思いもよらない彼だった!?

20歳の美容師、楓(我妻三輪子)は毎日なんとなく、生活をしている。なんとなくな恋、なんとなくな職場。「どうせこんなもん」に慣れ切った生活を変えたのは、6年ぶりに帰ってきた初恋の相手、幼馴染の拓也(中村無何有)だった。惰性で付き合ってきた彼にはなかったときめきを感じ、ワクワク感を取り戻していく楓。拓也の親友だった楓の兄・隆太(小林竜樹)と兄の婚約者・有希(今村美乃)を交えて家族ぐるみでの穏やかで楽しい付き合いがはじまる。片思いの相手がそばにいる幸せにほんのりと包まれているそんな時、楓が耳にしたのは拓也の隆太への思いだった。地元に密着した人間関係の中でそれぞれの片思いはどこに向かうのか。「片思いしてよかった」と思える相手がいることこそが生きる原動力になることを優しく教えてくれる一本。©冒険王

週に4時間しか会話を許されない修道院の静寂を体感するドキュメンタリー―「大いなる沈黙へ ーグランド・シャルトルーズ修道院」

フランスアルプス山脈に建つグランド・シャルトル―ズ修道院で過ごす修道士たちの生活を追ったドキュメンタリー。修道士の生活は厳しい戒律でコントロールされており、会話が許されているのは日曜日の4時間だけ。訪問者もラジオもテレビも許されていない。静寂に覆われたこの作品の注目すべき点は、音や会話が絞られているにも関わらず、限られた音の中から発見することが非常に多いということだ。沈黙が続くからこそ、音に敏感にならざるをえず、ミサに響くグレゴリオ聖歌や生活の音に耳を傾け、さらに沈黙の中で祈る修道士の姿に様々な空想を広げてしまう。神秘的な祈りの姿に惹きつけられる作品だ。岩波ホールほか全国順次ロードショー

第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭公式パーティー『ル グラン バル』レポート

第23回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭が7月12日よりスタート。7月18日には東京サロンにて公式パーティーの『ル グラン バル』が開催され、DJやエンターテイメントパフォーマンスに観客は大きな盛り上がりをみせた。「ミニシアターに行こう。」では公式パーティーの模様を画像満載でレポートします。今週末に上映されるおすすめ作品についてもうかがってきたので、気になる作品を見つけたらぜひ青山スパイラルホールに。

『マダム・イン・ニューヨーク』-インドの伝統菓子ラドゥに込められたインド女性のプライド

シャシはごく普通のインドの専業主婦。なに不自由ない暮らしの中で、彼女を傷つけるのは英語が苦手な彼女をからかう夫や娘の心無い言葉だった。そんな時、NYに住む姉から姪の結婚式準備の手伝いを頼まれ、単身NYに向かうことになる。世界の大都市NY。思い切って一人で入ったカフェでシャシは英語がしゃべれないみじめさをあらためてかみしめる。せわしない街角で目に留まったのは「4週間で英語が話せます」という英語学校の広告だった。様々な国から様々な境遇の人々が集っていた英語クラスは楽しく、シャシは英語に夢中になる。4週間の英語レッスンを締めくくる、最終試験の日、その日はくしくも姪の結婚式と同じ日だった。シャシは無事に英語レッスンを終了させることができるのだろうか?ラストシーンに込められた優しくも、凛としたインド主婦の生き方に心が動かされること間違いなしのボリウッドムービー。シネスイッチ銀座ほか全国順次公開。© Eros International Ltd.

第 23 回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 - 多様なあり方を観る映画祭。共通なものを感じる映画祭

7月12日より東京国際レズビアン & ゲイ映画祭がスタート。セクシュアルマイノリティを題材にした13作品がユーロスペース、スパイラルホールにて上映される。映画祭がセレクトしたのは昨年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞を受賞し、「カイエ・デュ・シネマ」誌で年間 1 位に輝いた「湖の見知らぬ男」やサンダンス映画祭監督賞を獲得した「52 チューズデイ」など国際映画祭でも評価が高い、刺激的な作品がずらり。単に同性間の恋愛を描くにとどまらず、家族、社会、政治の中で生きる人間の多様な在り方を問う作品はセクシャルマイノリティだけではなく、映画を観る全ての人に問題を投げかけてくる。日本初上陸の作品が多く、いち早く話題作をチェックできるチャンスだ。会期中は監督のトークイベントも予定されている。ミニシアおすすめ作品とイベントをご紹介します。

グランプリは多摩美術大学清水俊平監督に―第26回東京学生映画祭授賞式

中村義洋監督、青山真治監督など多くの映画人を輩出してきた、学生映画の登竜門、第26回東京学生映画祭が5月23~25日 に開催された。今回はゲスト審査員に橋口亮輔監督、横浜 聡子監督、小林 啓一監督を迎え、170作品以上の作品のなかから厳正なる審査、観客投票を経て、各賞が決定しました。受賞者の喜びの声をレポートします。

20年後の巨匠に会える映画祭―第26回東京学生映画祭

5月23日より北沢タウンホールにて第26回東京学生映画祭がスタート。東京近郊の学校、団体制作から寄せられ、最終選考に残った17作品(アニメーション部門9作品、実写部門8作品)を一挙公開する。東京学生映画祭は25年間の歴史の中で青山真治、中村義洋、園子温、熊澤尚人など国の内外を問わず目覚ましい活躍を続ける映画人を輩出している映画祭。これから芽吹く日本映画の才能をいち早く見つけることのできる絶好のチャンスだ。今年度は橋口 亮輔監督はじめ「秘密結社 鷹の爪」シリーズ作者FROGMAN監督、横浜 聡子監督 小林 啓一監督など多彩な映画人がゲスト審査員として登場する。ゲスト審査員と学生が議論を戦わせるトークセッションも見逃せない。

「パラダイス3部作」-図々しい裸体とぞんざいな愛撫が同居する欲望の天国

3人のオーストラリア女性が経験したバカンスを描くウルリヒ・ザイドル監督『パラダイス三部作』。3つの物語は刺激的だ。50代の白人シングルマザーがアフリカ・ケニアで現地青年とのセックスにのめりこむ『パラダイス:愛』、イスラム教徒を夫に持つキリスト教徒が過剰なまでにイエス・キリストに愛情を向け、救いを求める『パラダイス:神』、ダイエット合宿で父親ほどの年の差のある男性に初めての恋心を抱く女子学生を描く『パラダイス:希望』。オーストリア、ウルリッヒ・ザイドル監督はフィクションをドキュメンタリーの手法で撮るため、架空の物語でありながら、登場人物から生々しく激しい欲望が浮かび上がらせる。2012年カンヌ国際映画祭、ヴェネチア国際映画祭、2013年ベルリン国際映画祭と世界三大映画祭のコンペティション踏破した3部作。