市川はるひ

5月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

5月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! 今回は、実在の事件の映画化作品や、ダニエル・デイ=ルイスの引退作など、話題の7作品をご紹介します! あなたが気になるのは、どの映画!? 【LINE UP】『ボストン ストロング 〜ダメな僕だから英雄になれた〜』(5/11〜)、『29歳問題』『サムライと愚か者-オリンパス事件の全貌-』(5/19〜)、『ゲティ家の身代金』(5/25〜)、『男と女、モントーク岬で』『軍中楽園』『ファントム・スレッド』(5/26〜)

『オー・ルーシー!』〜苦難続きの恋! それでも愛は人生の可能性を開いてくれる〜

映画『OH_LUCY』_main寺島しのぶ、ほか日本の実力派俳優陣、さらにインディペンデント映画を愛するハリウッド俳優のジョシュ・ハートネット(2001年『パール・ハーバー』)が、新人監督作品に出演。米国映画学校で実力を培った、平栁(ひらやなぎ)敦子監督の才能を後押しする。人生を諦めていた中年女性が、恋の力で、孤軍奮闘。アメリカへの旅で手にするものは? 人生の可能性を広げる、愛と希望の物語。
2018年4月28(土) ユーロスペース、テアトル新宿 他にて公開

『心と体と』〜東欧発、鹿の化身になって深まる恋! 変わり者2人のロマンチックでおかしな日々〜

ハンガリーの鬼才監督・イルディコー・エニェディが18年ぶりに撮った、ファンタジーとリアルが交錯する不可思議なラブストーリー。毎夜、同じ夢を見ることを知り、急速に惹かれあう、中年男と若い女の不器用な恋。ブラック風味のラブコメ要素が魅力。リアルな可愛らしさを見せる鹿たちのシーンも、動物好きにはたまらない映像だ。2017年ベルリン国際映画祭・金熊賞受賞、本年度アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。
2018年4月14日(土)より新宿シネマカリテ、池袋シネマ・ロサほか全国順次公開
© 2017 INFORG – M&M FILM

『ラッキー』〜愛しき名優スタントン最後の主演作。「死とは何か?」 現実主義者ラッキーがたどり着いたある「考え」とは〜

そろそろ人生の終わりが近づいていると気付かされた男・ラッキー。小さな街で人々と交流し「死」のさまざまな側面に触れる中で、ある概念にたどり着くまでを、独自のテンポで描く。惜しくも2017年9月に亡くなった、名優ハリー・ディーン・スタントン最後の主演映画。名脇役として知られるジョン・キャロル・リンチが、映画初監督をつとめ、シンプルかつ粋に演出。また監督業で著名なデヴィッド・リンチが、俳優として重要な役柄を好演している。ユーモアと愛に満ちた人間ドラマ。
3月17日(土)より、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

『ゆれる人魚』〜ポーランド発、東欧の不思議な音楽と、美少女人魚のホラー・ファンタジー〜

人魚の姉妹をヒロインに、東欧の音楽シーンを盛り込んだミュージカル要素満載の、ホラー・ファンタジー。ポーランドの新鋭女性監督による本作は、サンダンス映画祭2016年ワールドシネマコンペティションドラマ部門審査員特別賞をはじめ、数々の映画賞を受賞。肉食人魚の恋と歌。美しくもグロテスクなビジュアルと、東欧文化を色濃く映した不思議な楽曲が、唯一無二の魅力を放つ! 2018年2月10日(土)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

『消された女』〜ホラーよりも恐ろしい惨劇!韓国の闇を描いた社会派サスペンス〜

映画『消された女』合法的に精神病院に強制入院、監禁され、殺人の汚名までも着せられた女。興味を持ったテレビプロデューサーが調べを進めると、身も凍るような、底なしの闇が現れて……。
韓国に実在した「精神保健法第24条」にまつわる惨劇を描いた社会派サスペンス。嘘と真実に揺れながら、深まる謎に釘付けになる問題作。監督はイ・チョルハ。出演はカン・イェウォン、イ・サンユンほか。
1月20日(土)より、シネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国順次公開
©2016 OAL, ALL RIGHTS RESERVED

『花筐/HANAGATAMI』〜大林宣彦監督が自身を投影した、戦争と死に飲み込まれていく若者たちの葛藤と魂の物語〜

80年代を代表する青春映画の金字塔『転校生』『時をかける少女』等、数多くの作品を撮ってきた大林宣彦監督による “戦争三部作”の最終章。コマ落としや合成といった映像技術が駆使された”大林ワールド”も健在。檀一雄の同名小説をベースに、当時の若者たちが力強く生きる様を描き、美しさと泥臭さが混在した圧倒的な世界観が突きつけられる。舞台となった唐津の、幻想的な祭り風景も壮観だ。

12月16日(土)、有楽町スバル座他全国順次公開 ©唐津映画製作委員会/PSC 2017

 

『エンドレス・ポエトリー』〜アレハンドロ・ホドロフスキー監督による、極彩色のリアリティ&ファンタジー再び!〜

アレハンドロ・ホドロフスキーの自伝作品、第2弾。衝撃的な映像美とみずみずしい感性で、従来のファンをも驚かせた『リアリティのダンス』から3年。前作で少年だったアレハンドロの青年時代を描く。奇妙で魅力的な芸術家の友人や恋人との、美しくも残酷な、愛と幻想の日々。今回も極彩色の映像と、強烈な演出で観客を楽しませてくれる。
2017年11月18日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク渋谷ほか全国順次公開 ©2016 SATORI FILMS, LE SOLEIL FILMS Y LE PACTE
photo:©Pascale Montandon-Jodorowsky

『Ryuichi Sakamoto: CODA』〜坂本龍一の活動全般を追った、深遠なドキュメンタリー〜

音楽家・坂本龍一に5年間の密着取材を行ったドキュメンタリー作品。撮影期間は、東日本大震災後、坂本氏が思わぬ病を得て闘病、復帰するまでだが、80年代などの貴重なアーカイブ映像も収録。長きにわたり、社会・環境問題に意識を向けてきた坂本氏が、それをどう音楽に反映させてきたのか。時代と音楽の深い関係性も映している。監督は『ロスト・イン・トランスレーション』のプロデューサーとして知られるティーブン・ノムラ・シブル。「これは最終章のはじまりなのか」とうたう通り、坂本龍一の肖像画的な作品だ。
11月4日(土) 角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開 ©2017 SKMTDOC, LLC

『女は冷たい嘘をつく』〜娘を思う母親の執念を描いたサスペンス。「嘘よりも恐ろしい真実」とは?〜

あるシングルマザーが、わが子を連れ去ったベビーシッターの行方を追う中で、恐ろしい真実に出逢うサスペンス。韓国の女優ならではの激しい情念を抱いた迫力の演技が、人間ドラマとしての趣を深くし、本作をただのサスペンスではなく、感動を呼ぶ質の高いドラマに仕上げている。シネマート新宿/心斎橋の特集上映「のむコレ」にて上映。

10月30日(月)より シネマート新宿、11月10日(金)よりシネマート心斎橋にて公開 ※特集上映につき、タイムテーブルにご注意ください。©2016, DICE FILM & MEGABOX PLUS M, ALL RIGHTS RESERVED