愛のむきだし

  • 2009年12月14日更新

51vrYK8LZKL._SL160_[1]敬虔なクリスチャンの父、テツ(渡部篤郎)と平和な日々を送っていたユウ(西島隆弘)。幼い頃に亡くした母の「マリア様のような女性をみつけなさい」という言葉を胸に、理想の女性との出会いを夢見るユウ。そこへ恋多き女、カオリ(渡辺真起子)が現われ、テツにつきまとう。神父としてのミッションとカオリとの関係に苦しむテツは、”罪”にとりつかれ、ユウに懺悔を強要。ユウは盗撮という”罪”を背負いながらマリアを探しつづけ、ヨーコ(満島ひかり)に出会う。時を同じくして、謎の新興宗教団体「ゼロ」を背後に、コイケ(安藤サクラ)は、ある目論見からユウとヨーコに近づくのだが…。 これは青春の恋でなく、真実の愛のストーリー。愛はきれいごとではないというテーマがあり、登場人物の絶望的なまでの葛藤やトラウマを堂々と描いた、凄まじいまでのエンターテインメント映画です。 

主人公のユウを演じるAAA(トリプルA)の西島隆弘は、女装が似合うという理由で選ばれ(納得)、本作で映画初主演を果たしました。コイケ役の安藤サクラは奥田瑛二のご令嬢でありながら、この怪演ぶり。フレッシュな俳優たちが、鬼才・園子温監督ワールドに染まって、救いを求めてコミカルに、激しく疾走するのです。お互いの心をつかむことができないまま、血まみれになったり、びしょぬれになったり、本能の「むきだし」のまま全身全霊で演じています。

愛と信仰と性、希望と絶望を行き来しつつ描いた、壮大でスピード感あふれる237分の超大作。

第59回ベルリン映画祭フォーラム部門 国際批評家連盟賞&カリガリ賞 W受賞

第9回フィルメックス アニエスベー・アワード(観客賞)受賞 ほか海外映画祭で多数受賞

シネカノン有楽町1丁目にて12/22まで公開

▼作品情報
日本/2008/237分
原案・脚本・監督: 園子温(その しおん)『自殺サークル』『紀子の食卓』

文:ホウキョウ チアキ

 

改行

  • 2009年12月14日更新

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