11月公開映画 短評 ―New Movies in Theaters―

  • 2018年10月31日更新

11月公開映画の中から、ミニシアライターが気になった作品をまとめてピックアップ! あなたが気になるのは、どの映画!?

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11/10(土)公開 『SOUNDS LIKE SHIT: the story of Hi-STANDARD』 『津軽のカマリ』
11/17(土)公開 『銃』 『いろとりどりの親子
11/23(金・祝)公開 『THE COLLECTORS~さらば青春の新宿JAM〜』
11/24(土)公開 『オンネリとアンネリのふゆ』
11/30(金)公開 『マダムのおかしな晩餐会』


『SOUNDS LIKE SHIT: the story of Hi-STANDARD』

生々しい痛みと葛藤——その先に見た“光”

映画『SOUNDS LIKE SHIT』メイン画像90年代、日本のメロコア・シーンの立役者として絶大な人気を博した、Hi-STANDARD。99 年発表のアルバムが世界で 100 万枚超のセールスを記録するなど、絶頂を極める2000年に突然活動を中止した彼らだが、本作ではこれまで語られなかったメンバー3人の思いが、それぞれの口から明かされる。メジャーレーベルを経由しながらもインディーズにこだわり、自らの理想を手作りで表現し続けたハイスタ。その裏には、バンドを愛するがゆえの壮絶な痛みと葛藤が存在した。生々しい言葉で語られる確執と苦悩。2011年の東日本大震災を機に活動を再開した彼らが、長い年月の先で見つけた“光”に胸が熱くなる。(min)

2018年11月10日(土)より全国公開  公式サイト
(2018年/日本/117分) 監督:梅田航 出演:Hi-STANDARD 配給:NexTone inc. © 2018 SOUNDS LIKE SHIT PROJECT


『津軽のカマリ』

津軽が匂い立つような、激しい三味線の音色

映画『津軽のカマリ』メイン画像「津軽のカマリ(匂い)がわきでるような音を出したい」と語った、津軽三味線の巨星、初代・高橋竹山(ちくざん)のドキュメンタリー。監督は『スケッチ・オブ・ミャーク』の大西功一。明治生まれで、幼少期の病気により失明。生きるために三味線を覚え、風雪に耐え忍び、門付けをしながら、東北や北海道を彷徨った……そんな自らの人生を真摯に、おかしみも加えて語った故人・初代竹山の津軽言葉が沁みる。かきならす津軽三味線の音は激しくて、芯があり、深い哀愁を帯びている。2代目竹山によれば「死に直結するような経験がないと出せない音」。津軽三味線の音色が、寂しさをたたえた津軽の風景と共鳴しながら鳴り響いてくる。(市川はるひ)

2018年11月10日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/日本/104分) 監督:大西功一 出演:高橋竹山(初代)、高橋竹山(二代目)ほか 配給:太秦  ©2018 Koichi Onishi


『銃』

美しい拳銃が、青年の狂気を目覚めさせる

映画『銃』メイン画像思いがけなく“銃”を手に入れた大学生が、徐々に理性を失っていく心理を描いた、中村文則の同名小説を映画化。監督は『百円の恋』の武正晴。主人公・西川トオルの独白を交えつつ、ほぼ全編をモノクロで撮影、ノワールフィルム的な雰囲気に仕上げている。主演は、次世代を担う俳優・村上虹郎。突如舞い降りた”銃”という存在によって、内に秘めていた凶暴さに揺さぶりをかけられ、アイデンティティそのものが変貌していく。そんな危うい若者像を、村上が今どきっぽさを加え、リアルに演じる。主人公に感情移入すると、まるで銃に内面から侵食されていくようだ。広瀬アリスも、陰陽併せ持つ女子大生ヒロインを印象的に演じている。(市川はるひ)

2018年11月17日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/日本/97分/R15+)  監督:武正晴 出演:村上虹郎、広瀬アリス、リリー・フランキーほか 配給:KATSU-do、太秦  Ⓒ吉本興業


『いろとりどりの親子』

似てない家族たち、感動のドキュメンタリー

映画『いろとりどりの親子』メイン画像「親子は似るもの」という先入観を覆す、世界的ノンフィクションベストセラー『Far from the Tree』を映画化。自閉症、LGBT、低身長、ダウン症など、親との“違い”をもって、この世に生を受けた子どもとその家族6組を追ったドキュメンタリー。いずれも愛情をもって”違い”を受け入れ、自動的に与えられなかった「つながり」を自らつかんだファミリーだ。苦難の日々も奇跡の一瞬も、両方をおさめた貴重な記録映像、そして現在の幸せな姿が力強い感動を呼ぶ。「”違い”は恐れるべきものではない」というメッセージは「本当の多様性とは何か」も考えさせてくれる。深く広いテーマが見えてくる豊かな作品だ。(市川はるひ)

2018年11月17日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2018年/アメリカ/93分) 原題:Far from the Tree 監督:レイチェル・ドレッツィン 配給:ロングライド ©2017 FAR FROM THE TREE, LLC


『THE COLLECTORS~さらば青春の新宿JAM〜』

移りゆく時代のなかで、決して色褪せないもの

映画『THE COLLECTORS』メイン画像1980年のオープン以来、ハードコアパンク、ガレージ、モッズなど、数々のアンダーグラウンドカルチャーの中心に存在し、2017年末に惜しまれつつ閉店したライブハウス「新宿JAM」。本作は、閉店直前の12月24日に同所でライブを行ったTHE COLLECTORSに密着しながら、彼らが共に歩んだ東京モッズカルチャーの軌跡を、さまざまな人の証言を交えて紐解いていく。80〜90年代のムーブメントをリアルに知る人ならば、甘酸っぱく、みずみずしく、貴重なシーンの連続に胸が締め付けられるだろう。THE COLLECTORSのフロントマン・加藤ひさしと古市コータローの軽妙な掛け合いに垣間見る、“積み重ねた時間”の深み。「新宿JAM」閉店を通して、移ろいゆく時代への惜別と、決して色褪せぬ青春を描いたドキュメンタリーだ。(min)

2018年11月23日(金・祝)より全国順次公開 公式サイト
2018年/日本/105分) 監督・編集・撮影:川口潤 出演:THE COLLECTORS(加藤ひさし、古市コータロー、山森“JEFF”正之、古沢“cozi”岳之)、會田茂一、岡村詩野、片寄明人、黒田マナブ、THE BAWDIES、真城めぐみ、峯田和伸、リリー・フラ ンキー/ The NUMBERS! 配給:SPACE SHOWER FILMS © 2018 The Collectors Film Partners


『オンネリとアンネリのふゆ』

幸福感に包まれる北欧ファンタジー第2弾

映画『オンネリとアンネリのふゆ』メイン画像今年6月に日本で公開された『オンネリとアンネリのおうち』の続編。本国では前作を上回る大ヒットとなった。クリスマス近くのある日、オンネリとアンネリのもとに、家をなくしたこびとの家族が“バラの木夫人”を訪ねてやってくる。悪い人間に追われているという彼らを2人はドールハウスにかくまうことに。しかし、こびとたちの存在に、お金に困ったガソリンスタンド店の夫婦が気づいてしまう。前作よりも心も体も成長し、愛らしさに頼もしさが加わった子供たち。色違いの可愛い冬服やクリスマス仕様の素敵なインテリアに目がくぎ付けになる。寒い季節に心がほっと温まり、幸せな世界へと導いてくれる作品。(吉永くま)

2018年11月24 日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2015年/フィンランド/81分) 原題:Onnelin ja Annelin talvi 英題:Jill and Joy’s Winter 監督・脚本:サーラ・カンテル 出演:アーヴァ・メリカント、リリャ・レフト、エイヤ・アフヴォ、ヤッコ・サアリルアマ 配給:アット エンタテインメント © Zodiak Finland Oy 2015. All rights reserved.


『マダムのおかしな晩餐会』

セレブに仕立て上げられたメイドの恋の行方は?

映画『マダムのおかしな晩餐会』メイン画像パリに住む裕福なアメリカ人夫婦アンとボブは豪華ディナーを計画。だが、手違いから出席者が不吉な13人に。急きょスペイン人メイドのマリアを“ミステリアスなレディ”に仕立てて出席させるが、彼女は緊張で酒に酔い下品なジョークを連発する始末。ところがそんなマリアをダンディな英国紳士が見初めてしまい……。お互い勘違いをしながらも噛み合ってしまう会話が笑いを誘う。ペドロ・アルモドバル監督の常連、マリア役のロッシ・デ・パルマのコメディエンヌぶり、“通好みの”パリの名所、セレブの豪華な邸宅やファッションなど見所満載。“主人と使用人”という階級社会が、今なお残る現実にも驚かされる。(吉永くま)

2018年11月30 日(土)より全国順次公開 公式サイト
(2016年/フランス/91分) 原題:MADAME 監督:アマンダ・ステール 出演:トニ・コレット、ハーヴェイ・カイテル、ロッシ・デ・パルマ 配給:キノフィルムズ © 2016 / LGM CINEMA – STUDIOCANAL – PM – Tous Droits Réservés

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