『シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』-パリの空の下で繰り広げられる愛と美味しさに満ちたドラマ

  • 2012年12月22日更新

パリの由緒ある高級レストランを舞台に、新人&素人シェフたちが三ツ星を守るため奇跡を起こす、何とも痛快な物語。“美味しい食事は人生の醍醐味”であることに納得し、それを目と舌で味わう幸福を疑似体験できるだろう。繊細かつ華麗な伝統料理以外にも、科学を取り入れた分子料理が登場(そして謎の日本人も!?)。ユーモアと温もりあふれる1作である。



生意気新人シェフが、三ツ星を守るために立ち上がる!

パリの超高級三ツ星レストラン“カルゴ・ラガルド”のベテランシェフ、アレクサンドルは、20年間料理に人生を捧げ、店の三ツ星を守り抜いてきた立役者。だがここのところスランプで、次の審査会に出す新メニューがひらめかない。審査会で星をひとつでも失えば、店の運命は終わってしまうのだ。
そんな時、彼は天才的な舌を持つ若手シェフ、ジャッキー・ボノに出会う。だが、ジャッキーは生意気な性格が災いし、数々のレストランを首になった問題児。やがてアレクサンドルと心を通わせるようになったジャッキーは、老人ホームの厨房で働いていた素人シェフたちを従え、由緒あるレストランを守るために立ち上がる。


信頼できる相棒と仲間が成功のカギ
20年間星を守り続けてきた一見頑固そうなベテランシェフ、アレクサンドルと、天才的な舌を持ちながら世渡りが下手なジャッキーの絶妙なコンビが物語の軸となる。師匠にも歯に衣着せぬ物言いをするジャッキーは見ていてハラハラするが、2人の心が次第に通い合っていく様子は、お約束とはいえ心地良い展開だ。
また、ジャッキーに協力する老人ホームの厨房で働いていた元トラック運転手、メークアップアーティスト、タイル職人といった素人シェフたちの存在も頼もしい。ジャッキーがスノッブな審査員たちに挑む勇気を持てたのは、実は彼らのおかげも(少し)あるはず。人間関係の温かさもこの作品の魅力のひとつである。


美味しい料理には幸福が詰まっている
さらに注目すべきは、フランス伝統料理と“エル・ブリ”に代表される科学的な考えを取り入れた分子料理の対比。アレクサンドルとジャッキーは、当初その調理法やメニューに戸惑ったり揶揄したりするが、果たして審査員好みのこの方法を取り入れ、奇跡の一皿を作り出せるのか。
そして、なぜか侍と芸者という謎の日本人も唐突に登場。日本人ではなくエイリアンだと思って見るべし。

恋人に見捨てられそうになったり、仕事の重圧に押しつぶされそうになったりと、登場人物たちが経験する挫折やストレスは様々だ。だが、それを乗り越えた後に残るのは、素適な料理と愛する人と素適な仲間。人生の光の部分がぎゅっと詰まったこの作品は、誰の心の中にも幸せを運んでくれるだろう。



▼『シェフ! ~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~』作品・上映情報
2012年/フランス/カラー/85分
監督:ダニエル・コーエン
脚本:ダニエル・コーエン、オリヴィエ・ダザ
出演:ジャン・レノ、ミカエル・ユーン、ラファエル・アゴゲ、ジュリアン・ボワッスリエ
配給:ギャガ
コピーライト:(c) 2012 GAUMONT – TF1 FILMS PRODUCTION –
A CONTRACORRIENTE FILMS
公式サイト:http://chef.gaga.ne.jp/
※12月22日(土)銀座テアトルシネマ、新宿シネマカリテ他全国順次ロードショー

文:吉永くま

  • 2012年12月22日更新

トラックバックURL:http://mini-theater.com/2012/12/22/26093/trackback/