『歴史は女で作られる』【デジタル・リマスター完全復元版】- 実在した踊り子の半生を描いた“幻の傑作”が、半世紀ぶりに蘇る!

  • 2011年12月22日更新

この作品、“呪われた傑作”と呼ばれているらしい。19世紀に実在した美しい踊り子の恋愛遍歴を描いたマックス・オフュルス監督の本作は、8億フランの巨費を投じた大作だったが、製作者が監督の意図を無視してずたずたにカット。興行的にも失敗に終わる。この一連の事件に不満を持っていた監督は、完成の翌々年、失意のうちにこの世を去ったという。今回は、幻の映画を完全復元したデジタル・リマスター版を上映。約半世紀前に撮影されたオフュルス監督こだわりの作品を美しく鮮明な映像と音響でじっくり堪能できるだろう。


美貌で男を虜にした踊り子の転落人生
かつては作曲家フランツ・リストやバヴァリア(バイエルン)王ルートヴィヒ1世など多くの男性と浮名を流した美貌の踊り子、ローラ・モンテス。今は落ちぶれて、サーカスで自らの半生を再現したショーに出演している。華やかな恋の遍歴を繰り広げていた踊り子時代の回想シーンと、見世物として人々の好奇の目に晒される現在が交錯し、彼女が辿ってきた波乱の人生が明らかになっていく。


運命に弄ばれた“悪女”の危うい脆さ
『歴史は女で作られる』という邦題からは、計算高い陰で糸を引く悪女がイメージされる。確かに実際のローラ・モンテスは稀代の悪女だったらしい。この映画でもファム・ファタール的な魅力は健在で、多くの男性を渡り歩いた後ルートヴィヒ1世に近づき愛人となり、権力を濫用したことから国外追放になる。ただ、本作のローラには一貫して脆さが感じられ、その天性の美貌、そして自分の欲望に正直であるが故に、こうした運命を辿ってしまったという感が否めない。主演のマルティーヌ・キャロルはこの時30代半ば。その熟れて崩れかける一歩手前の妖艶な美しさに、目が釘付けになる。彼女演じるローラ・モンテスの奔放な生活からの転落ぶりを淡々と映し出すカメラは残酷だ。女性映画が得意といわれるオフュルス監督は、豪華な舞台装置を据えたサーカスのいかがわしい雰囲気と、回想シーンの華々しさを対比させ、その悲劇をより際立たせている。


すべて夢のような現実
ローラ・モンテスは、長年の不節制からくる身体の不調を訴えながらも、観客の前で露出度の高い衣装を身に着け危険なアクロバット芸を行う。人生の盛りを過ぎ、落ちるところまで落ちた女の投げやりともいえる退廃的なショー。ローラを一目見ようと訪れた観客たちに向ける、彼女のうつろな表情が頭を離れない。サーカスでの現実も輝いていた過去も、すべて夢のように感じているのかもしれない。


▼『歴史は女で作られる』作品・上映情報
1956年-2009年/フランス/カラー/110分/シネマスコープ
監督・脚本:マックス・オフュルス
出演:マルティーヌ・キャロル、ピーター・ユスチノフ、アントン・ウォルブルック
字幕:寺尾次郎
配給:紀伊国屋書店、マーメイドフィルム
宣伝:VALERIA
配給協力:㈱コミュニティシネマセンター
後援:日仏学院、uniFlance Filmes
『歴史は女で作られる』公式サイト
※12月23日(金・祝)~1月13日(金)まで 3週間限定ロードショー
渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開!

  • 2011年12月22日更新

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