エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストランー五感が開くメニューを召し上がれ

  • 2011年12月10日更新

今までになかった料理を生み出す瞬間をとらえたドキュメンタリー
スペイン・バルセロナから車で1時間半の海辺の小さなレストランに年間200万件の予約が殺到する。席数45席、営業は年の半分。予約を試みた0.4%しか足を踏み入れることの出来ない伝説のレストラン。その名は「エル・ブリ」。ミシュランでは最高星の3つ星を獲得するレストランは単に味の良い料理を提供する場というだけではない。「エル・ブリ」の格言「クリエイティブとは、真似をしないこと」が示すように、その料理は今までにない味、食感、匂い、見た目を提案し、常に料理の世界のトレンドを作り出している。オーナーシェフ、フェラン・アドリアと試作担当シェフらによる半年に及ぶ新作メニュー開発から「エル・ブリ」が生み出す驚きの完成メニューを追ったドキュメンタリー。


世界一予約の取れないレストラン。エルブリの厨房の漲る緊張感
驚かされるのは「エル・ブリ」のスタッフ数の多さ。時期にもよるが、スタッフの数は60~70人。スタッフ全員が一切休むことなく作業に打ち込む姿は戦場に近い。客席45席を上回るスタッフが必要なのは40皿を超えるメニューをベストなタイミングで供するため。華やかにサーブされる料理の裏で、繊細な料理を扱う厨房の張り詰めた緊張感が画面からあふれる。


食のトレンドを作り、料理に世界観を打ち出す、天才シェフ、フェラン・アドリア。
「エル・ブリ」を世界一予約のとれないレストランに育て上げたオーナーシェフであるフェラン・アドリア。タイム誌、『世界の有名人100人の一人』に選ばれた経歴を持ち、今、料理界で最も影響力のあるシェフの一人である。フェランが作り出す味、食感、匂い、見た目は人が持つ五感を開かせ、体全体で食を楽しむことを提案してくれる。一言でいうのは簡単だが、レストラン閉店中の半年間に渡るメニュー開発のプロセスは地道で過酷。世界中の膨大な食材サンプルの中から人間の感覚を呼び覚ます食材を選び出し、最も適した調理法を探り当て、一つのコースメニューに仕立てあげる作業を行うのがフェランの仕事。フェランの供する40皿はいわば演劇や映画と同じように世界観を楽しむエンターテイメント。感覚的センスだけではなく、構成力、演出力が要求される。食材選びからコースとしての大きなコンセプト作りまで、「料理界のピカソ」と言われる天才シェフ、フェランがどのように食の世界のうねりを生み出すかをカメラは追う。
また、フェランを語る上で、忘れてはならないのは、フェランを補佐する若き二人のシェフ、オリオール・カストロとエデゥアルド・チャットルックの存在。膨大な食材サンプルを仕分け、フェランの想像力を増幅させる形で提案する二人の姿も見どころだ。


フェラン・アドリアを刺激する日本料理。
日本の観客にとってうれしいのは、フェランの会話の中に日本料理の食材や調理法が日本語で呼ばれている点。「柚子」「松茸」「しゃぶしゃぶ」といった単語がフェランの口から次々と飛び出す。もちろん日本に昔からあるものだけれど、トレンドを作り出すカリスマシェフが作り出すのは新しい次の料理。馴染みある“あの”食材がどんな変貌を遂げるのか、日本人としても注目したい。

 

 

 

 

 

 

▼エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン作品・上映情報
2011年/ドイツ映画/カタルーニャ語、スペイン語、フランス語/113分
原題:El Bulli Cooking in Progress/日本語字幕:佐藤真紀/字幕監修 服部幸應・結城摂子
出演:フェラン・アドリア、オリオール・カストロ、エドゥアルド・チャトルック
監督:ゲレオン・ヴェツェル
配給:スターサンズ/ドマ 宣伝:ミラクルヴォイス 後援:スペイン大使館 特別協力:セルバンテス文化センター東京
『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』公式サイト
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詳しくは公式サイトをご覧ください。
(C)2010 if…Productions / BR / WDR
(C)Francesc Guillamet

文:白玉

  • 2011年12月10日更新

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