『花子の日記』-最高級ブランド和牛をめぐって日韓の親子がセイシをかけた戦い!?異色テーマを超ローカル&グローバルに魅せる、“空腹絶倒”のヒューマン・ストーリー。

  • 2011年11月27日更新

瀬戸内海に実在する、人間よりも牛の数が多いとされる島、香川県小豊島。その島で最高級ブランドの和牛を育てる事に没頭する“牛狂い”の父親・吾郎(永島敏行)と、“牛嫌い・父親嫌い”に育ってしまった娘・花子(倉科カナ)が、ある日、牛の精子をめぐる大騒動に巻き込まれる!種牛を狙う韓国マフィアにより、日本に送り込まれたのは何も知らない普通の韓国人親子。やがて「吾郎・花子 VS 韓国人親子」の日韓親子対決が繰り広げられる事に・・・。主人公・倉科カナの威勢の良いキュートな演技、ベテラン永島敏行の偏屈ぶりなど、登場人物のキャラクターも見物である。『グラキン★クイーン』の松本卓也が脚本・監督。11月26日(土)オーディトリウム渋谷にてロードショー。

 


超異色テーマ、ブランド和牛の種牛をめぐる、セイシを懸けた戦い!?
まず、テーマが牛である。いや、牛というより肉牛である。しかも最終的に問題となるのは“牛の精子”。超コアな異色テーマである。さらに舞台はどローカル、香川県の小さな島。
人間より牛の数の方が多い、そんなニュージーランド(こっちは羊だけど)みたいな島が日本にあったとは、失礼ながら私も知らなかった。グーグルマップでピンをドロップするが如く、場所も内容もギュウっとポイントが絞られている本作だが、「国際問題だぞ!」なんて台詞が叫ばれる展開になってしまうから面白い。
小豊島で最高の肉牛を育てる研究に長年没頭し続ける吾郎は、5年に一度の肉牛大会で肉牛部門、種牛部門の両方で念願のダブル受賞を果たす。“牛狂い”の父親を疎んで島を出た娘の花子が、ひょんなことから帰省をすると、吾郎の牛を狙う韓国人親子に遭遇!いやいやながらも牛の精子争奪戦に巻き込まれる花子。しかし、韓国人親子と攻防する中で、吾郎との関係性にも変化が現れ始める・・・。テーマは牛、だけど伝わるのは親子愛。舞台はローカル、だけど展開はグローバル。そんな複合的な仕掛けが織り込まれたエンターテイメント作品だ。

ハイテンションなキャラクターを演じる日韓若手女優/俳優対決や、ローテクな味付けも見物。
倉科カナ演ずる花子は、冒頭からすごい勢いで飛ばしてくる。文化祭で牛の面を着けた男子生徒に飛びかかり、「牛なんていらねえんだよ!」と大乱闘。先ほど「偏屈」と表現した父・吾郎役の永島敏行の牛狂いっぷりもかなりのものだが、花子の牛嫌いっぷりや、ブログや韓流など自分の趣味嗜好に傾倒する姿も、やはりちょっと変わり者。「似た者親子」感がよく出てて笑える。一方、韓国勢。日本のアニメ・漫画オタクで、韓国のメイド喫茶で働くキムスメちゃんを演じるのは、歌手・女優として活躍するSORA。父・キムさん(金守珍)と共に兄弟4人の面倒をみるしっかり者だが、憧れの日本に興奮した羽目を外す姿、破天荒な演技がこれまたかわいい。この作品でファンを増やすこと間違いなしである。心配性でちょっと頼りないキムさんとのやり取りはまさに名コンビだ。
その他、瀬戸内海の自然やローカルな街の雰囲気という舞台背景を楽しめるのはオール香川ロケならでは。要所要所に登場する手作り感満載の牛の面や実際の住民の出演などローテクな演出も良い味付けとなっており、「さぬき映画祭」受賞作品らしい魅力に溢れている。見れば絶対笑える、きっと心暖まる、そして確実にお腹がすくことだろう(笑)

 


▼『花子の日記』作品・上映情報
2011年/日本/105分
監督・脚本:松本卓也
撮影:村埜茂樹
音楽プロデューサー:鈴木健二
制作:クロニクル、シネマ健康会
製作:「花子の日記」製作委員会
出演:倉科カナ、永島敏行、金守珍、SORA、水野美紀
配給:株式会社アクティブ・シネ・クラブ
宣伝協力:リリオ
©2011「花子の日記」製作委員会
※11月26日(土)オーディトリウム渋谷にてロードショー

文:しのぶ

  • 2011年11月27日更新

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