東京国際映画祭 クロージングセレモニー-グランプリはフランスの『最強のふたり』に

  • 2011年11月02日更新

10月30日、アジア最大の映画祭、第24回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが行われ、各賞が発表された。最高賞にあたるサクラグランプリを『最強のふたり』が受賞。また『最強のふたり』に主演しているフランソワ・クリュゼとオマール・シーの両氏が最優秀男優賞を獲得し、ダブルで栄冠に輝いた。日本最大の映画祭が目を付けた注目作。受賞者の喜びの声と間違いなく話題になる作品を一足早くチェックしよう。©2011 TIFF

 

TOYOTA Earth Grand prix審査員特別賞:『ハッピー・ピープル タイガで暮らす一年』

  ドミトリー・ワシュコフ監督
今回の受賞にあたりまして、共同監督を務めたヴェルナー・ヘルツォーク監督に感謝を申し上げたいと思います。彼の説得がなければこの映画は出来ませんでした。ロシアで公開されたこの作品は4時間に渡る長編だったのですがヘルツォーク監督が世界で見てもらうために短いバージョンを制作しようと提案してくれました。
『ハッピー・ピープル タイガで暮らす一年』
90分/ 英語、ロシア語/2010年 ドイツ 
シベリアのタイガ地域に、小さな村。タイガの四季を追ってゆくヴェルナー・ヘルツォーク共同監督/ナレーションで魅せるタイガの壮大な自然を追ったネイチャードキュメンタリー

TOYOTA Earth Grand Prix:『鏡は嘘をつかない』

カミーラ・アンディ監督
このトロフィーはとても重いです。でもとても美しいです。この映画はインドネシアの海洋民族バジョの人々を描いています。海のただなかで生きる人々がどのような環境の変化の中で苦しんでいるかということを東京国際映画祭で観ていただいたのは意義のあることだったと思います。
『鏡は嘘をつかない』
95分/インドネシア語、バジョ語/2011年 インドネシア 
パキス(12歳)の父親は海釣りに出かけたまま行方不明となる。行方不明となった人々を探すバジョの儀式では鏡と水を使う。そこで彼女は決して鏡に現れない父親の像をじっと待ち続ける。美しい海辺の村で展開するファンタジーに満ちた一篇。日本の「3.11」の映像も挿入される。

日本映画・ある視点 作品賞:『ももいろそらを』

小林啓一監督
今ここに自分がいることが信じられなくて緊張しています。昨日の夜、賞を取ったらどうしようとお風呂の中で考えていたんですけれど、全く思いつきません。この映画に関わってくれた皆さん本当にありがとうございました。またこのタイトルを考えてくれた亡くなった祖父に感謝しています。
『ももいろそらを』
112分 /日本語/2011年 日本
新聞の採点を日課にしている高校生・川島いづみは、ある日大金の入った財布を拾う。財布の持ち主を探し当てたことから、話は意外な展開へ…。モノクローム映像と共に高校生の心情を自然体で描く青春の一篇。
©マイケルギオン

最優秀アジア映画賞:『クリスマス・イブ』

ジェフリー・ジェトゥリアン監督
(監督はビデオメッセージでご挨拶をされました)
東京は私の大好きな街ですから、直接うかがって賞を頂きたいところですが、伺うことができず、大変申し訳ございません。ですが、心は皆様とともにあります。今後も映画を撮り続け、また東京国際映画祭に戻ってきたいと思います。
『クリスマス・イブ』
87分 /タガログ語 /2011年 フィリピン
クリスマス・イブ。アギナルド家は盗難に遭い、それぞれが盗まれた物を確認するうち、互いに隠してきた心のわだかまりをぶつけ合うようになる。盗難事件によってもたらされた緊張した空気の中、一家は、教会から荒らされた家に帰った時点から自分たちが大切にしてきた思いが失われ、関係が変化してしまったことを悟る。

観客賞:『ガザを飛ぶブタ』

シルヴァン・エスティバル監督
映画は残念ながら現実を変えることはできません。ですが、観客に希望を与えることはできます。それは素晴らしいことだと思います。私自身この賞を頂いたことを大変うれしく思っています。ありがとうございます。
ミリアム・テカイアさん(女優)
この映画を作る過程というのは感動的な作業でした。観客の皆さまにお礼を申し上げたいと思います。
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『ガザを飛ぶブタ』
99分 /アラビア語、ヘブライ語、英語 /2010年 フランス=ベルギー
パレスチナの貧しい漁師が釣り上げたのはなんとブタ! 不浄な生き物とされるブタの始末に往生する男の姿を通じ、地域の平和への祈りを描く心温まるコメディ。主演は『迷子の警察音楽隊』が印象的なイスラエルの大物俳優サッソン・ガーベイ。

最優秀芸術貢献賞:『転山』

ドゥ・ジャーイー 監督
専門的な映画の勉強をしたこともなく、撮ったこともなくただひたすら映画が好きで夢を持っているだけの私が賞を頂いてもよろしいのでしょうか?(審査員より「奇跡の作品です」というコメントを聞いて)審査員の皆さまは見る目がおありです。
転山
90分/ 北京語、チベット語、台湾語/2011年 中国
台北出身の青年が、兄の遺志を継ぐべく、中国本土に渡り自転車でチベットのラサを目指す。出会いと別れ、自然との闘い、そして自分との葛藤を繰り返し、青年は目的地へ向かう。過酷な通過儀礼を迫力の映像で描く、青春の成長物語。©TAIHE UNIVERSAL FILM INVESTMENT CO.,LTD

最優秀芸術貢献賞:『デタッチメント』

トニー・ケイ 監督
(ビデオメッセージでご挨拶をされました)そこにいることができなくてごめんなさい。それは私がここにいるからです。とてもクールで芸術的な仕事をし、人間のクリエイティブスキルを最大限に発揮できるようにスタッフ共々努力してできあがった作品です。これは映画を撮っている時に書いた曲で、ヘンリーの気持ちを歌にしたものです」とギター片手に1 曲歌ってくださいました。
デタッチメント
97分 /英語/2011年 アメリカ 
荒れた高校に赴任する代理教師の目を通じ、現代アメリカの教育現場の実態を描く。やる気のない生徒や、モンスター・ペアレンツの相手で極度のストレスに耐える教師たちをハリウッドの有名俳優たちが演じる一方で、リアリズムに徹した演出が光る。

最優秀男優賞:『最強のふたり』 フランソワ・クリュゼさん、オマール・シーさん

<オマール・シーさんからの代読メッセージ>
私の作品が上映されるのは初めてございました。東京国際映画祭で上映されるのも初めてでした。そして更に幸運なことに最優秀男優賞を受賞することも初めてでございました。皆様に心から御礼申し上げます。ありがとうございました。
<フランソワ・クリュゼさんからの代読メッセージ>
最優秀男優賞を頂けるのは俳優としての喜びを超え特に高名な東京国際映画祭においていただけるのは大変光栄であり心より御礼申し上げます。私は『最強のふたり』の一人であることを誇りに思います。

最優秀女優賞:『アルバート・ノッブス』 グレン・クローズ

グレン・クローズさん
(ビデオメッセージでご挨拶をされました)今ニューヨークです。もう午前2 時なのに、まだ二つシーンが残っているのよ。最優秀女優賞という素晴らしい賞の受賞者として私選んでくださった東京国際映画祭の審査委員の皆様に感謝します。とても光栄です。特にこの役に関しては、映画が完成するまでとても時間がかかりましたから、この作品に関わった大変大勢の人たちのおかげだと思っています。本当にありがとうございます。そこにいられたらと思っています。アリガトウゴザイマス!
 『アルバート・ノッブス』
113分/ 英語/2011年 アイルランド
19世紀ダブリン。真面目な執事アルバートには人に言えぬ秘密があった…。性別を偽り、ささやかな夢を抱いて生きる人物をグレン・クローズが演じ、圧巻の新境地を見せる。©Morrison Films / Chrysalis Films 2011

最優秀監督賞:『プレイ』リューベン・オストルンド監督

  リューベン・オストルンド監督
皆様ありがとうございます。 今日が東京での初めての日 なんですが、私の作品がコンペに出品されること、受賞することも初めてです。家族も日本に来ることを喜んでおります。この場を借りまして、この映画に出演している子役の子達に御礼を申し上げます。この役どころは大人の俳優でも難しい役どころです。ですけれど8人の子役は素晴らしい演技をしてくれたと思います。
  『プレイ』
118分/ スウェーデン語/2011年 スウェーデン=デンマーク=フランス
白人の子供たちに「カツアゲ」行為を行う黒人の少年たち。ステレオタイプを逆利用し、人間が抱く恐怖や偏見をえぐり出す恐るべきドラマ。リアリズムに徹した撮影は、現場に立ち会っているかのような衝撃をもたらす。観客の心理に挑戦する1本。 © Coproduction Office

審査員特別賞:『キツツキと雨』

   沖田修一監督
びっくりしています。東京国際映画祭で日本映画の一本に選ばれて、周りの人から「がんばってください」と言われたのですが、映画なんで、(既に)できちゃっているんですね。頑張りようがないよなと。この映画はたくさんの方の力を借りて作られた映画です。ありがとうございました。
  『キツツキと雨』
129分/ 日本語/2011年 日本/配給:角川映画
60歳の木こりとゾンビ映画の新人監督。出会うはずのないふたりが出会い、奇跡が起こる。『南極料理人』の沖田修一監督最新作は、役所広司×小栗旬 初共演。
●『キツツキと雨』公式サイト
©2011「キツツキと雨」製作委員会

東京サクラグランプリ『最強のふたり』

エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ監督
東京の友人の皆さん、素晴らしいニュースが届きました。私たちの映画にグランプリが与えられると!映画が、感情やユーモアなど、世界共通の価値観を伝達してくれるものであることを改めて実感しています。この信じられないような本当の物語を選んでくださってありがとうございます。二日後にフランスで公開になります。そして近日の日本公開にあわせて日本を訪れることを約束します!すごくハッピーです。Thank you, thank you, thank you, Tokyo!
『最強のふたり』
112分 /フランス語/2011年 フランス
パラグライダーでの事故の後、裕福な貴族のフィリップは自分の介護者として、刑務所を釈放されたばかりの若い男のドリスを雇う…。ヴィヴァルディとアース・ウィンド&ファイアー、上品な話し方と通りでの与太話、スーツとスウェットパンツ…。ふたりの世界は衝突するが、やがて互いを受け入れ、予想もつかないほどおバカで笑える最強の友情が生まれる。

文・撮影・編集:白玉

  • 2011年11月02日更新
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