『エイリアン・ビキニの侵略』オ・ヨンドウ監督インタビュー -製作費35万円でゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞した韓国インディーズ映画界の雄

  • 2011年10月18日更新

街の治安を守る34歳の童貞男ヨンゴン。男達に追われているところを助け出したのはむしゃぶりつきたくなるようなセクシー美人。そんな彼女は実はエイリアンだった?!ソウルの個室が壮大な宇宙と繋がる『エイリアン・ビキニの侵略』はなんと35万円という低予算で生み出されたSFファンタジー。低予算を感じさせないスピード感と広がりある映像でゆうばり国際ファンタスティック映画祭グランプリを受賞した。チャン・グンソクでも2PMのテギョンでもない「34歳童貞」をニューヒーローに仕立て上げ、低予算ながらスリリングな作品を作り上げたオ・ヨンドウ監督に作品について伺ってきました。

チャン・グンソクでも2PMのテギョンでもない「34歳童貞のニューヒーロー」
-34歳の童貞男が地球を救うという設定が面白かったですが、どのような着想から来たのでしょうか。
オ・ヨンドウ監督(以下オ監督):もしこの主人公がチャン・グンソクだったら、「なぜ彼が童貞なのか?性格に問題があるのか?」とか考えてしまいますよね。これはホン・ヨングンさんという俳優のビジュアルがこの状況にマッチしていることから出発しています。ホン・ヨングンさんが童貞だと言われた時にみんなすぐに理解してしまうというインパクトがあります。俳優さんありきで映画を撮るということに決めて、その後はホン・ヨングンさんと話し合いながらキャラクターを作っていきました。

-34歳の童貞男という設定について、ホン・ヨングンさんが初めて聞いた時の感想はいかがでしたか?
オ監督:彼はそういうのが大好きなんです。低予算映画なので予算の限界もありますし、部屋の中で撮らなければならないという制限もあるので、脱いで裸を見せてしまおうという事になりました。撮影に入る前にホン・ヨングンさんが「僕も体を2PMのテギョンさんのように改造したらどうだろう」と言われたので、やめてくれと言いました。あの顔とは似合わないでよすね。もっとリアリティのある人物を作りたかったんです。

エイリアンよりゾンビより怖いのは人間
-前回の作品が「隣のゾンビ」、今回はエイリアン。人間にとって恐怖となりえる対象に愛情をもって表現されていますが、監督にとってエイリアンとはどのような存在ですか?
オ監督:個人的には世の中で一番怖いのは人間だと思っています。それ以外の生命体というのは見たことも、経験したこともないので逆に愛情がもてるのかもしれません。もちろんゾンビの群れがいたら怖いかもしれないですけれども、一人一人を見てみれば私たちと変わらない存在です。この映画の中ではエイリアンが出てきますけれども、決してエイリアンが地球を破壊したとは思っていません。逆に地球を破壊しているのは人間なのではないだろうかと思うんです。

低予算の面白さは存分にできる楽しさ。次回は推理が苦手な探偵がタイムマシーンを探します。
-35万円で制作されたということなのですが、その金額に驚きます。低予算の楽しさをお聞かせ下さい。
オ監督:韓国でも低予算映画といえば、100万円。100万円というのもあまりなくて、だいたい1,000万円ぐらいというのを低予算映画と言います。私の場合は今回、全て自宅で撮っているということがあったのであまりお金がかかりませんでした。実質的にこの映画に関わっている人の労力を考えればもっと予算はかかっています。 低予算映画の楽しさというのは思う存分にやれる楽しさでしょうか。途中でいきなり医者が現れたり、時計の広告が入ってきたりするのは危険要素があるシーンですが、「だからなんなんだ!」という気持ちで、やりたいように実験できる映画作りの楽しさがありました。 35万円で制作するのは普通のことではないけれど、不可能ではない。本当に映画を撮りたいという気持ちがあればそうやってでも撮るべきだと思います。

-ゆうばり国際ファンタスティック映画祭でグランプリを受賞してから変わったことはありますか?
オ監督:受賞した後に映画を一本撮りました。ホン・ヨングンさんが主演を務めています。全く推理が苦手な探偵がタイムマシーンを探すというSF探偵アクションです。クランクアップをしていて11月に完成する予定で最初の公式な公開は来年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭になります。

恒例の靴チェック !
普段はサンダルをはいているという、オ監督。今回はスニーカーで登場。ソウルで買った1足だけ持っているスニーカーだそうです。








<監督>オ・ヨンドウ
1975年1月26日生。1995年から映画業界で働き始め、2007年、短編『クリスマスを切る』(未)で監督デビュー。翌年、映像製作集団キノマンゴスチンを立ち上げ、オムニバス・ゾンビ・ホラー『隣のゾンビ』(09)を製作。第1話と2話の演出を担当した。『隣のゾンビ』はプチョン国際ファンタスティック映画祭で観客賞、審査員特別賞を受賞。これがきっかけとなり、キノマンゴスチンは韓国インディーズ映画界で注目を集めるようになる。本作は、キノマンゴスチンの第二回製作作品であり、オ・ヨンドウにとって初の長編監督作品。次回作は、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭の支援を受け、未来からきた女性と一緒にタイムマシンを探す事になる探偵が主人公のSF・ミステリー・アクション映画を製作中。主演は、本作と同じくホン・ヨングンとハ・ウンジョンの二人。

▼『エイリアン・ビキニの侵略』作品・上映情報
2011年/韓国/75分
原題: 에일리언 비키니
英題:INVASION OF ALIEN BIKINI
監督・脚本:オ・ヨンドウ
製作:チャン・ユンジョン 
撮影監督:グ・チュンモ 
音楽:キム・ジョンヨン
キャスト:ホン・ヨングン、ハ・ウンジョン、チェ・ヨンジョ、チョ・フンヨン、ソ・ビョンチョル、キム・ヒョンテ、キム・ソンミン
● 『エイリアン・ビキニの侵略』公式サイト
10/22(土)よりシアターN渋谷 他全国順次公開
(C)kinomangosteen 

文・編集・撮影:白玉

  • 2011年10月18日更新

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