『ジョン・レノン,ニューヨーク』—秘蔵映像と未発表音源を通して浮かび上がるジョン・レノンが生きたニューヨーク、あの時代。

  • 2011年08月11日更新
(C) 2010 Two Lefts Don’t Make A Right Productions, Dakota Group, Ltd. and WNET.ORG
(C) Bob Gruen/www.bobgruen.com

“ビートルズのジョン”が“ジョン・レノン”を取り戻した街、彼が生涯もっとも愛し、そして彼の命を奪う舞台となった街、ニューヨークをキーワードにジョンの後半生を追ったドキュメンタリー。オノ・ヨーコの全面的な協力、監修のもとに1971年9月から1980年12月まで約9年間過ごしたニューヨークの時代を本人のインタヴュー発言はもちろん、ヨーコやエルトン・ジョンらの最新インタヴュー、そして信頼していたプロデューサー、ジャック・ダグラスを始め、活動を共にしたミュージシャンたち、友人でもあったカメラマン、ボブ・グルーエンなど、真にジョンの身近にいた人たちの証言によって当時のジョンの生活が鮮やかによみがえる。

― 数々の秘蔵映像と未発表音源で描く、真実のジョン・レノン。

(C) 2010 Two Lefts Don’t Make A Right Productions, Dakota Group, Ltd. and WNET.ORG
(C) David Spindel

ジョン・レノンがこの世を去ってから30年が過ぎた。いまだに熱狂的なファンは世界中に数多くいる。また、実際に彼が生きて活躍していた頃のことを知らない人でも、テレビやラジオで自然と彼の楽曲を知り、ヨーコとのベッドインなどのパフォーマンス映像を何度か目にしたことがあるだろう。多くの人はジョン・レノンが偉大なアーティストだったことを漠然と知っている。私自身も、いつの間にか集められた断片的な知識とビートルズ時代を含めた数枚のアルバムからジョン・レノンというアーティストの人物像をうっすらと頭の中に描いていた。しかし、本作を観終わった今、私の中でぼんやりとしていたジョンの輪郭はあまりにもくっきりとした形となって胸に焼き付き、簡単には消えないものとなってしまった。

本作はジョンの生誕70周年&没後30周年を記念して、アカデミー賞ノミネートの経験をもつマイケル・エプスタイン監督のもと、数々の受賞歴を誇るスタッフが結集して作られた。多くの秘蔵映像と未発表音源で構成され、まるでジョンの横にいて70年代を生きる疑似体験をさせてくれる映像作品だ。全ビートルズ・ファン、ジョン・ファン、そしてあの時代に何が起こっていたのか知りたい人すべてにとって充分に見応えのあるものになっている。

— あの時代、ニューヨークでは何が起きていたのか。

(C) 2010 Two Lefts Don’t Make A Right Productions, Dakota Group, Ltd. and WNET.ORG
(C)David Spindel

1970年のビートルズ解散騒動により、イギリスではヨーコへのバッシングが激化していく。二人が行った平和活動のパフォーマンスは一部のファンの目には奇行として映り、マスコミはこうしたジョンの行動がビートルズを解散に導いたのだと書き立てた。母国に嫌気がさしたジョンが移り住んだのがニューヨークだ。芸術、音楽、そして自由。そこにはジョンとヨーコの二人にとって必要かつ魅力的なものすべてが詰まっていたのだろう。ジョンはこの土地で新たな人生を謳歌しようとするが、当時のアメリカはベトナム戦争のさなかで、激化する反戦運動の波に次第に巻き込まれていく。平和運動の先頭に立ち抗議の曲を歌うなど、その行動はやがてアメリカ政府も無視できないものとなる。当時の映像には、ニューヨークで起きていた反戦運動の激しさと、ジョンが若者たちに与えた影響力の大きさがリアルに映し出され、同時にジョンが歌詞に込めたストレートなメッセージが深く胸に迫ってくる。

— ジョンにとっての絶対的なミューズ、オノ・ヨーコという存在。

(C) 2010 Two Lefts Don’t Make A Right Productions, Dakota Group, Ltd. and WNET.ORG
(C) Ben Ross

70年代のジョンを語る上で、もっとも重要な人物はやはりオノ・ヨーコだ。本作を観ても、ヨーコの存在がいかにジョンにとって大きいものだったかがわかる。驚くべきことは、ジョンの浮気とそれが原因で始まる「ロスト・ウィークエンド」と呼ばれる別居生活について、ヨーコ自身の口から語られていることだ。生々しい真実がジョン・レノンという一人の男の姿をいっそう浮き彫りにする。さらにこの作品では、その後の二人の運命的な再会や、息子ショーンの誕生、専業主夫時代などジョンの人生の中でもっとも安らかで充実していた時間を経て、志半ばで帰らぬ人となるまでを細かく描いている。この作品を通して、短くも鮮烈に生きたジョン・レノンの人生をあらためて知るとともに、彼の作った音楽の真髄に触れることができるだろう。

▼『ジョン・レノン,ニューヨーク』作品・上映情報
アメリカ/2010年/115分
原題:”LENNONYC”
監督・脚本・製作:マイケル・エプスタイン
製作:スーザン・レイシー ジェシカ・レヴィン
登場する人物:ジョン・レノン オノ・ヨーコ エルトン・ジョン ほか
提供:キングレコード
配給:ザジフィルムズ
協力:フィールドワークス
『ジョン・レノン,ニューヨーク』公式サイト
※2011年8月13日(土)より、東京都写真美術館ホールほか全国順次公開

文:min


  • 2011年08月11日更新

トラックバックURL:http://mini-theater.com/2011/08/11/18029/trackback/