フランス映画祭 2011―リュック・ベッソン団長ほか来日映画人の、「今」の日本への想い。

  • 2011年08月05日更新

2011年6月に開催された、フランス映画祭 2011。東日本大震災の余波と、原発問題の渦中にある日本に、リュック・ベッソン団長をはじめとしたフランスの映画人がゲストとして訪れました。

6月23日(木)に、記者会見とオープニング・セレモニーが有楽町朝日ホールで開催されました。その際に来日ゲストが語った言葉には、上映作の話題に加えて、「今」の日本を案じて愛する想いがたっぷり。当日の華やかな画像とともに、ご紹介致します。

「日本のみなさまに、変わらない気持ちと友情を示したくて来日しました」(ベッソンさん)

リュック・ベッソンさん(フランス映画祭 2011 団長。『アーサー3(仮)』監督。以下、ベッソン) 30年来のつきあいになる日本のみなさまに、変わらない気持ちと友情を示したくて来日しました。「苦しいときや厳しいときに、真の友人が誰であるかがわかる」という格言がありますが、フランス国民の多くが、日本のかたがたと同じ気持ちであるとお伝え致します。
今回の未曾有の災害にあたって、日本のみなさまは威厳のある落ち着いた素晴らしい姿勢で対応して、世界中の人々へ感銘を与えました。もし、同じようなことがフランスで起こっていたら、誰もが冷静さを失って、世紀の大混乱に陥ったと思われます。フランスの原子力発電所もかなり深刻な状況ですので、事故が起こる可能性もあるのではないか、と危惧しています。そのようなことに残念ながらなってしまったときには、(フランス国民も)日本のみなさまと同じように、冷静な対応ができればよいと思っています。
『アーサー3(仮)』の大切なテーマは「エコロジー」です。これからの地球を引き継ぐ子どもたちに正しいメッセージを伝えるのは大事ですが、直接諭してもなかなか聴いてもらえないので、(主人公の)アーサーに大切なメッセージを託しました。不思議なもので、子どもたちはアーサーが言うことには耳を傾けてくれるのです。

「今年だからこそ、(日本のみなさまに)思いきり笑っていただけるコメディ映画も採用しました」(アッチョンドさん)

レジーヌ・アッチョンドさん(ユニフランス・フィルムズ代表) 私どもがどれだけ日本が好きかということを、お伝え致します。特に今年は、この状況の中、フランス映画祭を開催して、日本のみなさまに映画を観ていただきたいと思っていました。今年だからこそ、上映作はシリアスなものばかりではなく、思いきり笑っていただけるコメディ映画も採用するよう、心がけました。また、『6階のマリアたち』のフィリップ・ル・ゲー監督は、ぜひとも来日したいと希望していましたが、結婚式に出席しなければならなかったため、来日が叶いませんでした。
世界中の人々と同様に、フランス人も日本で起きた悲劇に驚きました。微々たるものですが、この映画祭の興行収益の一部を、公益社団法人 Civic Force を通じて寄付致します。

「(来日するのが)恐いどころか、とても楽しみにしていました」(アメリスさん)

ジャン=ピエール・アメリスさん(『匿名レンアイ相談所』監督。←の写真、右) このたび、来日してから受けたインタビュー取材では決まって、「日本に来るのは恐くなかったですか?」と質問されましたが、恐いどころか、とても楽しみにしていました。『匿名レンアイ相談所』を日本のみなさまに観ていただきたい、という気持ちでいっぱいだったのです。
日本を訪れるたびに、観客のみなさまにお会いするのが楽しみですが、今回はいつにも増して、友情と連帯の気持ちを表したかったので、ぜひ来日したいと思っていました。

「この地球に、日本国民という素晴らしい人たちが存在していることを誇りに思います」(イオセリアーニさん)

オタール・イオセリアーニさん(『Chantrapas』監督。↑の写真、左) (日本から)遠い地にいても、日本のことがずっと頭から離れなかったので、今回、来日できて、とても嬉しいです。
はっきり申し上げて、(自分の)映画についてお話しすることはありません。この大震災にあたって、冷静かつ正直にふるまった日本のみなさまに、深く感銘を受けました。この地球に、日本国民という素晴らしい人たちが存在していることを誇りに思います。日本の洗練された愛されるべき文化と、日本のみなさまの人を気遣う心と礼儀正しさは、世界中に知られています。

「来日してから、福島と祝島を訪れました」(ジョーさん)

ジャン=ポール・ジョーさん(『セヴァンの地球のなおし方』監督) 初めて日本を知ったのは、黒澤明監督の映画を通してでした。私は日本が大好きで、日本のみなさまを支援したいと思っています。
今回、来日してから、福島と祝島を訪れました。祝島では、約30年前から上関原子力発電所の建設計画に反対している日本人の女性たちとお会いしました。昨日、東京に戻ってきてからは多くの取材を受けていますが、インタビューに答える際も、撮影していただく際も、必ずこの「原発絶対反対」と記された鉢巻を身に着けています。こうすることで、被災されたかたがたに対する連帯の気持ちと、福島や祝島でお会いしたかたがたを支持する気持ちを表そうと思っています。

「個性豊かな日本で、この映画をご紹介できて嬉しいです」(ペリシエさん)

ジュール・ペリシエさん(『消えたシモン・ヴェルネール』主演) とても個性豊かな日本で、この映画をご紹介できることを、大変嬉しく思います。『消えたシモン・ヴェルネール』を制作したチームを代表して、日本のみなさまにお礼を申し上げます。

「日本に到着して、まだ24時間しか経っていませんが、『次は、いつ来日できるだろう』と考えています」(トレイナーさん)

オリヴィエ・トレイナーさん(短編『ピアノ調律師』監督) 自分の作品を日本のみなさまにお見せできるのは、大変嬉しくて光栄です。今回が初めての来日で、日本に到着してからまだ24時間しか経っていないのですが、「次はいつ日本に来られるだろう。またこうして作品を紹介するために、ぜひ来日したい」と考えている次第です。

「到着してから1時間しか経っていませんが、もう日本にぞっこんです」(ズロトヴスキさん)
「同感です」(ムラさん)
 

レベッカ・ズロトヴスキさん(『美しき棘』監督。←の写真、右) 日本に到着してから、まだ1時間しか経っていないのですが、もう、この国にぞっこんです。『美しき棘』をみなさまに観ていただけることになって、大変嬉しいです。

クリストフ・ムラさん(『美しき棘』共同脚本。←の写真、左) ズロトヴスキ監督の言葉に同感です。私もとても嬉しいです。

ところで、記者会見でおこなわれた質疑応答では、思わずにやりとしてしまうようなお話が、ベッソンさんの口から飛びだしました。併せて、ご紹介致します。

― アニメーションの持つ力について、どうお考えですか?

「魔王マルタザールの吹き替えをしてくださっているGACKTさんの声は、信じられないほど素晴らしい」(ベッソンさん)

ベッソン フランスには、かなり古くからアニメを作る伝統があります。アニメ制作の三大国といえば、フランス、日本、アメリカですが、幸運にも、この三国の(アニメ制作における)スタイルは、とても異なっています。
フランスは比較的小さな国で、(アニメ制作の)技術的な革新が他国よりも時間差で入ってくるため、若干、遅れをとってはいます。また、アニメを作るには多額の予算が必要ですが、資金をなかなか集められないときもあります。ですが、そういったマイナス面を克服するために、賢く取り組んで工夫しようとしています。そのため、近年のフランスのアニメ作品は、とてもクオリティの高いものが多いです。今後のフランスでは、毎年2~3本ずつアニメ映画が作られていくでしょう。
ところで、『アーサー』シリーズの魔王マルタザールの声を、日本で吹き替えをしてくださっている俳優(注:GACKTさん)がどなたか、私は直接存じあげないのですが、声を聴かせていただいたところ、「信じられないほど素晴らしい声だ」と感動しました。

― 日本では、ベッソンさんの監督作を通してフランス語を学んでいる人もいます。ベッソンさんは英語もご堪能ですが、語学を習得するこつを教えてください。

「フランス人を恋人にするのはいかがでしょうか?(笑)」(ベッソンさん)

ベッソン 私の監督作でフランス語を学んでくださるのはとても嬉しいですが、私の映画で使われているフランス語は、純粋な言葉ではない場合もあります。パリのコンコルド広場よりは、大都会の郊外で通用するようなフランス語だと思いますよ。
外国語を習得するためのアドバイスですが、ひとつは、その国の映画を観ること。もうひとつは、その国のニュース番組をたくさん観ることだと思います。ニュース・キャスターの発音は明瞭ですし、話しかたも非常にわかりやすくて聴きやすいものです。フランス語を学ぶのでしたら、フランスの国際ニュース専門チャンネルの”France 24″や”TV5MONDE”をお薦めします。
また、フランス語を習得するなら、フランス人を恋人にするのはいかがでしょうか?(笑)

▼フランス映画祭 2011 開催概要
期間・会場:6 月23 日(木)~6 月26 日(日) 有楽町朝日ホール他にて
主催:ユニフランス・フィルムズ
共催:朝日新聞社
後援:フランス文化・コミュニケーション省-CNC ユビフランス 東京日仏学院 在日フランス大使館 パリ市
協賛:ソシエテジェネラル信託銀行 LVT TV5MONDE
特別協力:TOHOシネマズ
Suppoting Radio:J-Wave
協力:ショートショートフィルムフェスティバル&アジア
運営:ユニフランス・フィルムズ 東京フィルメックス
宣伝:アステア
フランス映画祭 2011 公式サイト

取材・編集・文:香ん乃 取材・編集協力:ciao スチール撮影:鈴木友里

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