『昼間から呑む』-酔った勢いが背中を押してくれる旅物語

  • 2011年05月13日更新

タイトルを見るだけで、気になってしまうあなた。そう、この映画はあなたのようなお酒好きの物語。恋人に振られ傷心のヒョクチン。彼の失恋を慰める飲み会で友人達は旅行を提案する。行き先はチョンソン。しかし翌日、待ち合わせ場所に向かったのはヒョクチン一人。酔った勢いの旅行計画。友人達は本当に旅行するとは思っていなかったらしい。ヒョクチンは友達が合流するまで一人で旅をすることに。友達から紹介された宿の主人は感じが悪かったが、隣室には美人が一人で泊まっている。お酒とともに旅は進み、酌み交わす数だけ事件が起きる。酒好きなら誰もが自分に重ねて笑える酒飲みのためのロードムービー。シネマート新宿ほか全国順次公開

振られて、酔って、旅をして。酔った勢いが背中を押してくれる旅
運命の恋人に振られたヒョクチンのために開かれた飲み会。ヒョクチンを励まそうと友人たちはチョンソンに出かける計画で大いに盛り上がる。翌朝、あれだけ騒いでいたというのに待ち合わせ場所に来たのはヒョクチン一人。酒の席での口約束。まさか本当に出かけるとは思わなかったらしい。落胆しているヒョクチンに友人は後から合流することを約束し、一人、ヒョクチンは旅を始める。友人お勧めのペンションはすこぶる対応が悪いうえになにもすることがない。とにかく昼間から飲む。風に当たっていると一人で宿に泊まっているという隣室の美しい女性が急接近してくる。いてもたってもいられないヒョクチンは酒の力も手伝って、“結構いいワイン”を持って彼女の部屋のチャイムを鳴らす。呑んだくれヒョクチンの一人旅は順調にスタートするのだろうか?

酒を飲む天国、酒を飲む地獄。酒好きだったら経験済みの酒呑みアルアル。
骨の髄まで酒呑みのロードームービー。心地よい酔いに勇気をもらい、一歩を踏み出す旅。とはいっても酒から貰った勇気はよこしまで煩悩まみれ。酔いに任せて大胆にそして必死になる姿に多くの酒呑みはアルアルと心の中でつぶやくこと必至。二日酔いに苦しみ、恥ずかしい失言、失態を繰り返し、ひどく反省しても、次の日にはケロっと忘れて心地よい酩酊天国に身をゆだねる。酒呑みが懲りずに繰り返すこの天国と地獄をノ・ヨンソク監督はリアルに愛すべき姿で描いていく。低予算のこの作品、照明の費用を削減するために昼間中に撮影を終わらせて、スタッフ、キャストで“夜に呑んで”いたというのだ。製作費の大半は酒代になっているが、結果的に制作チームの酒呑み体験が作品中の酒呑みと重なり合い、リアルな酒呑みの悲しみと喜びを作り出している。

酒を飲みながらなにを食べる?酒飲みグルメに注目。
もう一つの注目はなにを食べながら呑むか。ヒョクチンがチョンソンに着いてすぐ、焼酎と一緒に食べるジャガイモ蕎麦も捨てがたいが、韓国の酒呑みの夢と表現される“真冬の海辺でインスタントラーメンを食べながらの焼酎”は韓国人ならずとも一度はトライしたい組み合わせ。この他にも肉に魚、酒呑みにはたまらないグルメが満載。帰りがけに一杯飲みながらなにを食べるかを考えるのも楽しみの一つ。

 

 

▼『昼間から呑む』作品・上映情報
2009年/韓国/116分
監督・脚本・撮影・編集・美術・音楽:ノ・ヨンソク 
出演:ソン・サムドン、キム・ガンヒ、イ・ラニ、シン・ウンソブ
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●『昼間から呑む』公式サイト
シネマート新宿
、シネマート心斎橋ほか全国順次公開
文:白玉

  • 2011年05月13日更新

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