『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』-妄想で終わらない、小さな男の大きな戦い 

  • 2011年05月03日更新

スコット・ピルグリムはゲーム好きで無職のアマチュアベーシスト。夢の中の女性に一目ぼれしたスコットはパーティで偶然その女性、ラモーナ・フラワーに再会。早速、彼女を自分が出演するバンドコンテストに招待するのだが、演奏の半ば、天井を突き破って突然一人の男が現れる。彼の名はマシュー・パテル、ラモーナの元カレの一人。ラモーナと付き合うためには彼を含めて7人の元カレを倒さなければならないという。スコットはどんな手を使って元カレ軍団に立ち向かうのか?シネマライズ他、全国順次ロードショー!

愛するラモーナを手に入れる条件は7人の強者をボコボコにすること。
スコット・ピルグリム22歳。ロックバンド“セックス・ボブオム”のベーシスト。ゲーム好き。無職。女子高生の彼女もできてそれなりに楽しい毎日を送っているが、ある日、夢の中に出てくる女性を好きになってしまう。彼女の事で頭がいっぱい、うわの空。偶然、パーティーで夢の中の彼女に遭遇し、ラモーナ・フラワーという名前を聞き出すと、ストーキングしながら彼女の情報を集めるスコット。「彼女はレベルが違う」「男に大モテ」「「あいつ、すごい戦歴だぜ」イイ女らしい。そしてなにより貴重な情報が舞い込む「男と別れたらしい」。スコットはラモーナに接近し、自身が出演するバンドバトルにラモーナを誘う。バンドバトル当日、“セックス・ボブオム”の演奏が始まる…と、天井を突き破ってマシュー・パテルという男が現れる。彼はラモーナの元カレで、彼を含め7人の元カレを倒さないとラモーナとは付き合えないというのだ。ファイヤーボールを操るマシュー・パテル。スコットはどう戦うのか?そして次なる元カレはどんな手を使ってスコットに立ち向かおうとしているのか。そんなことより、ラモーナの愛をつかむことはできるのか?

ゲームやコミックの想像力と恋する男の現実が仲良く同居。華麗で壮大な痴話げんかバトルスタート。
女の子に話しかける最初の話題が「パックマンは最初Puckだった」というどこにでもいる?ゲーム好きな無職のバンドマン、スコット・ピルグリム。意中の相手は男にモテまくるラモーナ・フラワーというイイ女。ラモーナをめぐる、ゲーマー・スコットと元カレ軍団の戦いは美しく、シャープで、圧倒的な破壊力を持つ“ストリートファイター”の世界。しかし、注目したいのはこのバトルシーンが単なるゲーマーの妄想でないこと。無敵ファイターのバトルの世界とともに同居するのは22歳の青年の情けないささやかな愛すべき日常。ゲーセンに行って、彼女とコーヒーショップ行って楽しむような日常がストリートファイターと同時に進行していく。エドガー・ライト監督が描くバトルシーンはゲームの世界に閉じこもった青年の単なる妄想ではなく、コントロール不可能な生身の人間の感情がはじけてうまれたもの。だからこそ、ゲームの中にも現実の感情-平凡な恋する気持ちや、失恋の痛み-が流れ、二つの世界が繋がり、生身の人間を成長させる(ゲームだとレベルアップだが)。考えてみれば、現実と仮想現実が一緒になるという想像というのはゲーム世代にとって、そんなに不思議なことではない。現実だけでもゲームだけでも、漫画だけでもない、それぞれが頭の中で絶妙に共存すること。そんな想像力は平凡な毎日をポップに、カラフルに、激しくさせる。たくましい想像力と平凡な毎日をミックスさせたライト監督の世界は私たちの頭のなかを見ているような作品だ。

世界中から選ばれし楽曲。BECK、コーネリアス、もちろんゲーム音楽も

ライト監督は本作にぴったりなオリジナル曲を作ってもらえるミュージシャンを世界中から探し出したという。スコットのバンド“セックス・ボブオム”の楽曲は全てベック・ハンセンによって書き下ろされている。また、斉藤祥太、斉藤慶太が演じるカタヤナギ・ツインズの楽曲は小山田圭吾が担当。もちろん、ゲーム音楽も満載。聞き洩らさないようにチェックして。

 

『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』作品・公開情報
アメリカ/2010年/112分
監督:エドガー・ライト
脚本:マイケル・バコール、エドガー・ライト
原作コミック・シリーズ:ブライアン・リー・オマリー
配給協力:アステア+パルコ
出演:マイケル・セラ、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、キーラン・カルキン、クリス・エヴァンス、アナ・ケンドリック、アリソン・ピル、ブランドン・ラウス、ジェイソン・シュワルツマン、斉藤祥太、斉藤慶太
Ⓒ2010 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED

● 『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』公式サイト

※4月29日(祝・金)より、シネマライズ他、全国順次ロードショー!

文:白玉
《観てから読む? 読んでから観る?》
スコット・ピルグリム VS ザ・ワールド
スコット・ピルグリムVSザ・ワールド
著者:ブライアン・リー・オマリー
定価:1995円(税込)発行:ヴィレッジブックス

  • 2011年05月03日更新

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