『100,000年後の安全』-放射性廃棄物が無害になるまで10万年。10万年後の安全を想像するドキュメンタリー

  • 2011年04月16日更新

原子力発電所から排出される高レベル放射性廃棄物が無害になるまでの期間は10万年。フィンランドでは10万年の耐久性を持つ放射性廃棄物最終処分場「オンカロ」の建設を始めている。10万年という長い期間には天候や地表の変化によって地球は大きく変貌することが予想される。その時代、地球に住む子孫は私達とは共通言語や価値観を持たないかもしれない。今を生きる私たちは10万年後の彼らに的確に放射性廃棄物の危険性を伝えることができるのだろうか? 「オンカロ」の建設現場で働く人々と10万年の地球の変化を想定する専門家の話を通じ、10万年後の子孫に放射能廃棄物について語りかけるドキュメンタリー。渋谷アップリンク他4月16日より拡大ロードショー。

 10万年先に送る危険なタイムカプセル。10万年後の子孫に語りかける「近寄ると危険」のメッセージは届くのか?
国内に4基の原子力発電所を稼働させているフィンランド。発電所から排出される廃棄物を安定した状態で管理するため、ヘルシンキから240kmに位置するオルキルオトの500メートル地中に廃棄物を格納する永久地層処分場「オンカロ」(フィンランド語で「隠し場所」)の建設を開始した。放射性廃棄物が無害になるまでにかかる時間は10万年と言われるため、「オンカロ」の耐久期間は10万年を想定。対して人類が地球に存在していたのは1万年。人類はどのように10万年という長期間に起きる出来事を予想するのか。戦争、自然災害、6万年に一度の氷河期を経て、地球上に存在する10万年後の生物。その生物は人類でないかもしれない。共通言語や同じ価値観を持たない可能性のある10万年後の子孫達に放射性廃棄物の危険性を伝える方法を探る。 マイケル・マドセン監督が作品中語りかけるように、現在の人間が送る警告は子孫たちに確実に届けることができるのだろうか。

永久ではなく、10万年。言葉ではなく数字が語るもの。
作品の中ではシンプルな数字がいくつか登場する。その中でも大きな意味を持つのが100,000年という数字。この数字はもしかしたら、永久という言葉に置き換えられるのかもしれない。しかしフィンランドではこの途方もない数字に敢えて取り組んでいる。人の寿命は平均で80年程度。80年の積み重ねの先には必ずや10万年先があり、そこには私たちの子孫がいる。今だけをすり抜けることをせず、また永久-今から途方もなく遠い時間の隔たり-という言葉で想像力を失うことなく、放射能廃棄物と向き合う「オンカロ」の今。原子力発電について多く議論される今、一つの参考になる施設だ。

 

 ▼『100,000年後の安全』作品・公開情報
(2009年/79分/デンマーク、フィンランド、スウェーデン、イタリア)
監督・脚本:マイケル・マドセン
脚本:イェスパー・バーグマン
出演:T・アイカス、C・R・ブロケンハイム、M・イェンセン、B・ルンドクヴィスト、W・パイレ、E・ロウコラ、S・サヴォリンネ、T・セッパラ、P・ヴィキベリ
配給・宣伝:アップリンク
●『100,000年後の安全』公式サイト

渋谷アップリンクほか、全国順次公開中

文:白玉

  • 2011年04月16日更新

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