『ピンク・スバル』-期限は4日、盗まれた誇り高き日本車、スバルを取り戻せ。

  • 2011年04月13日更新

イスラエルとパレスチナ境界の街タイベ。この街に住むズベイルは20年間かけて貯めたお金で、ついに新車スバル・レガシィを購入。愛車で花嫁になる妹を式場に連れて行くのを夢見ていた。そんな矢先、跡形もなく愛車が消えた!式までは4日。レガシィを取り戻すため、大泥棒、解体業の母、占い師、手段は問わない大捜索が始まる。日本人、小川監督が切り取る紛争地はニュースでは語られないどこか懐かしい街。遠いはずなのに昭和の香り漂うタイベの空気を楽しんで。4月16日(土)より、渋谷アップリンクほか全国順次公開

 

愛車を超えた恋人ミス・レガシィが盗まれた。どんな手を使っても取り戻す。
イスラエルとパレスチナの国境の街、タイベ。この街に住む中年男のズベイルは遠く離れたテル・アビブで働き、コツコツとお金を貯め、念願の日本車、スバル・レガシィを手に入れる。レガシィのピカピカと光るブラックメタリックの車体は妖艶な女性のように魅惑的。ズベイルはこの愛車で大切な妹を結婚式場に連れて行く日を待ち望んでいた。レガシィが納車された翌日、愛車は忽然と車庫から姿を消す。盗まれた!!!愛するレガシィなしに妹の結婚式など迎えられるはずはない。結婚式まで後4日。何としてでも愛車を取り戻す。ズベイルの住む街タイベは車泥棒の街。イスラエル国内で盗まれた車はタイベからパレスチナに運ばれ、解体されてしまう。一刻も早くミス・レガシィを救い出さなければ。車泥棒の知り合いに捜索を依頼するズベイルだったが、消息は一向につかめない。ついに家族、友人総動員での手段を選ばないミス・レガシィ大捜索が始まった。果たして、ブラックメタリックのミス・レガシィは無事なのだろうか?そしてズベイルの妹アイシャは結婚式を迎えられるのだろうか?

年間5000台。イスラエルで盗まれたスバルブランド車の運命
イスラエルの富士重工・スバルブランド車の市場占有率は驚異の80%。多くの主要自動車メーカーが他のアラブ諸国でのビジネスを優先し、イスラエルへの輸出を控える中、日本の富士重工社がイスラエルでの輸出取引をスタートさせた。現在ではスバルブランドがイスラエルで熱狂的に支持されるブランドへと成長している。一方、カーディーラーが極端に少ないパレスチナは常に車が不足しており、その不足を、イスラエルからの盗難車を再利用することで補っている。そのため、イスラエル国内で盗まれるスバルブランドの車は年間5000台というハイペース。憧れの車だけに失う悲劇も珍しくない。

日本人監督が描く、昭和の香り漂うどこか懐かしい紛争地の日常
「私がお嫁に行く人はどんなひと~」 冒頭にタイベの街並みに軽やかに流れるのは雪村いづみの「ケ・セラ・セラ」。中東の街に響く昭和の音楽はなんともチャーミング。日本のニュースで目にする紛争地域、パレスチナ、イスラエルは物理的な距離だけではなく、宗教的 、政治的にも大きな隔たりを感じる地域。しかし、日本人、小川監督が初めてイスラエルを訪れる時に浮かんだのは懐かしい昭和のお正月のイメージだったという。家族や近所のものが集まり、食べて、笑って、語らう。ささやかでありながらも幸せな時間の流れ。日本から遠く離れていても、家族や友人の在り方に変わりはない。雪村いづみの「ケ・セラ・セラ」の懐かしいメロディは距離の隔たった二つの国を根底でつないでいるのだ。想像のつかない遠い国がぐっと近くに引き寄せられる不思議な感覚を体験して欲しい。

▼『ピンク・スバル』作品・公開情報
(2011年/カラー/98分/イタリア・日本)
監督:小川和也
脚本:アクラム・テラーウィ、小川和也
出演者:アクラム・テラーウィ、ラナ・ズレイク、 小市慢太郎ほか
配給・宣伝:レボリューション 配給・宣伝協力:アップリンク
(c) Revolution Inc.
●『ピンク・スバル』公式サイト
※4月16日(土)より、渋谷アップリンクほか全国順次公開
文:白玉
改行
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  • 2011年04月13日更新

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