『トルソ』DVD発売記念 渡辺真起子さん インタビュー

  • 2011年03月11日更新

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2010年に劇場公開された『トルソ』は、重鎮のカメラマン・山崎裕氏が初めて監督としてメガフォンを執った長編作品です。

撮影時は68歳、公開時は70歳だった「男性」の山崎監督が、「30歳代の独身女性の、リアリティあふれる生態と揺れ動く心」を生々しく描きだした物語。ある程度の年齢を重ねた女性なら、まるで自分自身が描かれているかのように、シンクロする部分の多い内容です。また、男性にとっては、「女性の生態と本心」を知るための優れたテキストになってくれること、うけあい。

2011年2月4日、『トルソ』のDVDが発売されました。映画館で見逃したかたはもちろん、「劇場でも観たけれど、改めて自宅でじっくりと堪能したい」というかたにも嬉しい出来事です。

DVDの発売を記念して、主人公のヒロコを演じた女優・渡辺真起子さんにお話を伺ってまいりました。『トルソ』や山崎監督への印象に加えて、プライヴェートにも話題が及んだインタビュー、とくとお楽しみください。

トルソ [DVD]

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― 『トルソ』の企画と脚本を最初に知ったときの、率直なご感想は?

「『よし、やろう』という覚悟のほうが先に立ったので、物語の内容に対する客観的な感想などは特にいだきませんでした」

渡辺真起子さん(以下、渡辺) 山崎監督が「女性を撮りたい。女性を見つめたい」とお考えだということは、企画が決定する前に説明を受けていましたので、いざ脚本で具体的な物語を見たときも、驚きはそれほどありませんでした。「よし、やろう」という覚悟のほうが先に立ったので、物語の内容に対する客観的な感想などは特にいだきませんでしたね。

― 山崎監督は、「男性として」どのようなかたでしょうか?

渡辺 「女性を探求し続ける人」という感じかな。男と女は、互いにどこまで理解しあえるかがわからない未知な分野ですよね。でも、そこを探求し続けようというのは挑戦者であり、冒険家だと感じますし、女性にとっては、そういう男性の存在はとてもありがたいと思います。

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― カメラマンとして重鎮の山崎監督にとって、『トルソ』は劇映画として初の監督作品でしたが、「映画監督として」の山崎監督はどのようなかたですか?

渡辺 よい意味で、その場その場で起こったことに柔軟に的確に対応していくかただと思います。決めつけて進めたほうが物事は楽なものですが、山崎監督はささやかな事件が起こる要素や不確実な要素などののり代を残して進めていくように感じました。

― 本作では、女性の生態が緻密に映し出されているので、「男性がこれほど生々しく女性を見ているのか」と、感心すると同時に恐くなる部分が女性にはあるかと思います。

渡辺 「(男性が女性を)そこまで見たいの? そして、それを愛してくれるの?」と感じる部分はありますね。こういうことを言う自分は恥ずかしいんですけど(笑)。

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― 撮影中も、山崎監督の観察眼の鋭さや、その生々しさは感じましたか?

「感じましたが、そういう監督とご一緒にお仕事をしたい、というのが私の本意でした」

渡辺 感じましたし、それは覚悟の上で演じました。これまで、『TAMPEN 短篇』で山崎監督とご一緒したり、彼が関わられたドキュメンタリーなどを拝見したりしたときにも、監督の観察眼の鋭さは感じましたが、そういう山崎監督とご一緒にお仕事をしたい、というのが私の本意でしたので。

― 独身で仕事をしている女性なら、主人公のヒロコやミナに共感すると思います。そういった女性の中には、日常生活の中で不安や閉塞感を覚えているかたも多いと思うのですが、少しでもリラックスして毎日を楽しく過ごすためのアドバイスなどはありますか?

「ただとどまっていないで、目の前にあることを避けないでいたい」

渡辺 私もまだその渦中にいるといえるので、ふとすると閉塞感の中にぽつんと自分がいたり、孤独だったりすることがあります。「自分がどこへ向かっているのか」がわからなくなることは、往々にしてあるんですね。

でも、ただとどまっていないで、目の前にあることを避けないでいたい、という気はします。たとえば「ごはんは食べよう」とか、「手に触れたものは握ってみよう」とか、そういう感じですね。そのせいで、自分の傷口が広がるかもしれないけれど、同時に、解決の糸口にもなるかもしれない、と思っています。

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― 日頃、健康や美容のために心がけていることはありますか?

「『ひとりでぼんやりする時間』を大事にしています」

渡辺 寝るのがすごく下手なんですよ。眠りが浅くて、寝つきも悪く、わりと不眠がちなんです。なので、よい睡眠をとるための努力はしています。湯船にちゃんとはいったり、体を冷やさないようにしたり、リラックスするための時間をとったり、ということですね。「ひとりでぼんやりする時間」を大事にしています。

― 舞台、映画、テレビと、さまざまジャンルで多岐に渡った役を演じていらっしゃいますが、今後トライしてみたい役柄やジャンルはありますか?

渡辺 私自身には子供がいませんが、私の世代の女性には思春期のお子さんがいらっしゃるかたも多いので、「思春期の子供の母親役」で、子供とがっつり向きあう役など、演じてみたいな、と思います。また、もう少し挑戦的なことを言うなら、「男性の役」もおもしろいですね。

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ジャンルで言うと、(現実的な物語の作品に出演することが多いので)「日常からかけ離れたSF作品」なども、機会があれば参加したいと思っています。

― 今後、ご一緒に仕事をしたい監督や俳優はいらっしゃいますか?

渡辺 ご一緒したいな、と思うかたとは、これまでにご縁を持たせていただいているので、そういったかたがたと、二度目、三度目で、より深く関われたらよいな、と思います。

― 渡辺さんのブログを拝見していると、映画館や観劇などに、積極的に足を運んでいらっしゃるとお見受けします。「観客」として、今後のミニシアターに求めることはありますか?

「劇場に来て作品を人と共有するという時間に、映画という媒体の本来のおもしろみがあるのではないかと思っています」

渡辺 シネマコンプレックスで全国的にロードショーされるような、誰にでも楽しんでもらえるわかりやすい作品があるのは大事だと思っています。ただ、一方で、単館系で上映されている、見落とされてしまいそうな秀作もあります。

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一度の上映期間が短くてもいいので、そういった作品が単館で何度も再上映されることで、作品とお客さまが長いつきあいで一緒に育っていくといいな、と思っています。既にDVDが発売されている作品でも、劇場に来て作品を人と共有するという時間に、映画という媒体の本来のおもしろみがあるのではないかと思っています。

映画の作り手が、上映時にトーク・ショーなどを頻繁に開催するといった努力も拝見していますし、私も能動的に参加しています。そういうことは必ず観客との新たな出会いになり、先につながると思っています。

― 『トルソ』をこれからDVDでご覧になるかたへ、メッセージをお願い致します。

渡辺 温かい飲み物でも飲みながら、リラックスしながら観ていただけたらいいな、と思います。

IMG_0058▼渡辺真起子さん プロフィール
1968年9月14日生まれ。東京都出身。1986年より、モデルとして活動を始める。1988年、中島哲也監督『バカヤロー! 私、怒ってます』にて女優として映画デビュー。以後、諏訪敦彦監督『M/OTHER』(1999年)、行定勲監督『贅沢な骨』(2001年)、河瀬直美『殯の森』(2007年)、園子温監督『愛のむきだし』(2009年)、山岡大祐監督『ロストガール』(2009年)、山崎裕監督『トルソ』(2010年)等、多数の映画作品に出演する傍ら、舞台、テレビでも幅広く活躍中。山崎裕氏が参加した「監督がいない映画作り」がコンセプトの『TAMPEN』(2001年)にも出演。公開待機中の映画に、蜂須賀健太郎監督『あの庭の扉をあけたとき』、西川文恵監督『あぜみちジャンピン』がある。
●公式サイト:渡辺真起子.com
●公式ブログ:go go makimaki
所属事務所 公式プロフィール

トルソ

▼『トルソ』作品・DVD情報
日本/2009年/104分
監督・撮影・脚本:山崎 裕
脚本:佐藤有記
出演:渡辺真起子 安藤サクラ ARATA 蒼井そら 石橋蓮司 山口美也子 他
製作:いちまるよん トランスフォーマー
配給・宣伝:トランスフォーマー
コピーライト:(C)2009 “Torso” Film Partners
『トルソ』公式サイト
『トルソ』 DVD /104分+特典約75分/カラー/片面1層(セル片面2層)/ 音声1:日本語ステレオ / 画面:16:9ビスタサイズ / セル版特典:メイキングドキュメンタリー、舞台挨拶、インタビュー】

取材・編集・文:香ん乃 スチール撮影:鈴木友里
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