『180°SOUTH/ワンエイティ・サウス』―“人生の旅”を描くライフ・ドキュメンタリー。

  • 2011年01月24日更新

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40年以上も前、未開の地、南米パタゴニアを目指した2人の若いアメリカ人がいた。

アウトドア・ブランドの最高峰「patagonia」と「THE NORTH FACE」の創業者、イヴォン・シュイナードとダグ・トンプキンスである。手つかずの壮大な大自然は、2人の人生観や価値観を変えるほどの衝撃を与えた。

そして今、2人の残した映像に魅せられたアメリカ人青年が彼らの足跡をたどって追体験の旅を試みる。彼は旅の終わりに何をみたのか?

自然を愛するスペシャリストたちの“人生の旅”を描くライフ・ドキュメンタリー。

1968年、イヴォンは友人のダグに南米パタゴニアの登山に誘われる。2週間後、記録用の16ミリカメラとサーフボード、登山具を積んで旅立った。当時、人の気配がなく全くの未開の地だったパタゴニアの自然は2人に衝撃を与え、その後の人生を大きく変えていく。

それから40年後、その旅の映像を見て衝撃をうけたジェフ・ジョンソンは、同様にパタゴニアの高峰コルコバド山を目指す。サーフィンと登山を愛する彼はメキシコからパタゴニア行きのヨットクルーとして乗り込むことに。途中、船にアクシデントがあり、近くのイースター島に寄港する。このイースター島での映像は、プロモーションビデオのごとく美しく釘づけになる。時間ごとに表情を変える海の映像はいずれも素晴らしく、自然の美しさを見せつけられる。島の歴史やモアイ像の謎も明快だ。過去の文明の崩壊からいろいろと考えさせられる。

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いよいよパタゴニアに到着し、コルコバド山に挑む。美しくも険しい人跡未踏の原野を進む。このような風景はそうそう目にできるものではない。果たして彼らは頂上に立つことができるのだろうか。

全編を通して、山、海、空、雲、湖、どれをとっても素晴らしく、それらの大自然が混ざり合った風景と、圧巻のサーフィンシーンに魅了される。そして、それに緩やかな音楽がのり、眺めているだけでも癒されて楽しめる。自然の前では人間の小さいこと、そして私たちがどれだけ自然に依存しているかを思い知らされる。

パタゴニアは南米・チリとアルゼンチンにまたがる地域。実は、かねてから私が今一番訪れたいと思っている場所である。本作を観ながら、いつかパタゴニアを訪れ、美しい景色を目にしながら、ダグとイヴォンに感謝している自分の姿を想像してしまった。見渡す限りの美しい光景は、彼らを筆頭に自然保護に尽力してくれている方々のおかげだと目の当たりにしたから。

旅、自然、登山、サーフィン、パタゴニア、イースター島、そして環境問題。どれかひとつでも引っかかるキーワードがあれば心に響くに違いない必見作。そう力強く言える作品である。ただ、何もかも放り出して旅に出たくなってしまうかもしれないのでご注意を。

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▼『180°SOUTH/ワンエイティ・サウス』
作品・公開情報

アメリカ/2009年/87分
原題:”180°SOUTH”
監督・脚本・編集:クリス・マロイ
出演:イヴォン・シュイナード ダグ・トンプキンス
ジェフ・ジョンソン キース・マロイ
マコヘ ティミー・オニール 他
配給:グラッシィ スタイルジャム
コピーライト:(C)2009 180°SOUTH LLC.
『180°SOUTH/ワンエイティ・サウス』公式サイト
※1/22(土)より、渋谷・シネクイントにて【20日間限定】ロードショー! ほか全国順次公開

文:那須ちづこ
改行

  • 2011年01月24日更新

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