西川美和監督 トークイベント

  • 2009年11月22日更新

西川美和監督

都内・丸の内カフェで、フィルメックスのプレイベントとして行われた西川美和監督のトークイベントを取材してきました!

フィルメックスで注目している作品や、公開中の韓国映画『母なる証明』についての感想は、映画監督ならではの視点でとても興味深く、映画ファンで埋め尽くされた会場は大いに盛り上がりました。                                                        
是枝裕和監督に見出され、若干28歳で監督デビューした西川美和監督。初監督作品の『蛇イチゴ』は、完成度の高い脚本が評価され、第3回東京フィルメックスのコンペティション部門で上映された。

過去のフィルメックスで印象に残った作品として、西川監督は『シークレット・サンシャイン』を挙げ、「今までの解釈が打ちのめされるような作品で、映画はもっといろんな価値観に挑戦していくべきものなんだ」と強い衝撃と感銘を受けたという。

今年の作品については、「パク・チャヌク監督の『サースト~渇き~』はぜひ観ていただきたいと思います。オープニング作品の『ヴィザージュ』は、シカゴ映画祭でも上映されていた注目作ですね。『フローズン・リバー』も定評があります。あとは、女性監督(ハナ・マフバルバフ)の『グリーン・デイズ』も気になるところです」と、海外の映画祭で高い評価を得ている作品をピックアップ。
また、特別上映「ニッポン★モダン1930」の『恋も忘れて』(清水宏監督)は、「なかなか上映の機会がないので、観に行こうかな」とのこと。会場に行けば西川監督に会えるかも?!

韓国の俳優ソン・ガンホさんのファンという監督に、客席から最近の韓国映画について質問が寄せられると、ポン・ジュノ監督の『母なる証明』について、「次は冤罪ものをやろうと思ってたんですけど、まるでやる気をなくしました。ポン・ジュノ監督の考えていることは、私の100倍ぐらい先を行ってましたね」と冗談交じりではあるものの、その言葉には悔しさを滲ませていた。

さらに韓国映画との違いについて質問が及ぶと、しばらく考えて、「うーん、気合いですかね…?(笑)もちろん社会的な経験が映画に及ぼす影響は強いと思いますし、徴兵制なんかもその一つだと思います。誤解があるかもしれませんが、バランスの悪いところもたくさんある国でそれに対する不満とか鬱屈した気持ちとか、生々しくリアリティがありますよね」と、ひとつひとつ言葉を選びながら答え、「書くこと(テーマ)もいっぱいあるだろうなと思います」と、最新作『ディア・ドクター』で「へき地のニセ医者」を描いた監督らしい感想も付け加えた。

▼西川美和監督・プロフィール

1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。是枝裕和監督や諏訪敦彦監督作品の助監督を経て、『蛇イチゴ』で監督デビュー。『ゆれる』がカンヌ国際映画祭の監督週間に出品され、脚光を浴びる。笑福亭鶴瓶主演の最新作『ディア・ドクター』は現在公開中。

東京フィルメックス映画祭は、11/21-11/29まで開催

取材・文/おすず 撮影/秋山直子
改行

  • 2009年11月22日更新

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